丸紅の取り止め承認 洋上風力発電 来月事業者を公募 北側区画は発電設備の選定へ(県港湾課)

[2017/1/13 茨城版]
 県港湾課は10日、鹿島港南海浜地区の洋上風力発電事業について丸紅(東京都中央区)から申し入れのあった事業取り止めを承認し、事業予定者の取り消しを行った。南側区画の約340haに25基の大型風力発電設備を設置する計画だったが、丸紅は事業取り止めの理由について「開発期間を通じて精査した事業採算が、当初想定していた事業採算の水準を下回り、投資決定をすることが難しいという判断に至ったため」と説明している。これを受けて同課は、南側区画を対象に2月ごろにも改めて事業者の公募を実施するよう計画している。

 この事業は、東日本大震災以降のエネルギー問題を我が国が抱える最重要課題の一つと捉え、港湾地区を再生可能エネルギーの新たな供給拠点とするもの。県は24年5月に鹿島港の港湾計画を変更し、年間平均風速などの自然条件で優位性を持つ鹿島港南海浜地区の沖合680haを「再生可能エネルギー源を利活用する区域」に位置付けた。

 同年7月には、全国で初めて港湾区域(水域)で大規模な風力発電事業者を民間から公募し、ウィンド・パワー・エナジー(神栖市)と丸紅の2者を発電事業予定者に選定した。一時は共同で事業を進めることが承認されたが、事業水域を分割して個別に事業を進めることになり、それぞれ環境影響評価や船舶航行安全対策などの必要な調査・検討を進めてきた。

 丸紅は南側区画の約340haを対象に、5メガワットの風車を25基程度設置する計画だったが、昨年12月に県へ事業の取り止めを報告していた。同社は事業取り止めについて、公募した当時よりも風力発電の普及が進むことで建設コストやメンテナンスコストが低下すると見込んでいたが、実際は普及が進まずコスト低減に至っていないことや、投資における社内の基準に照らして再検討した結果、事業採算の水準に達しないとの判断に至ったと説明している。

 県港湾課は2月にも、改めて南側区域の洋上風力発電事業を公募し、応募内容を審査して事業予定者を選定する方針。昨年7月1日に港湾法が一部改正となり、洋上風力発電事業の普及を図る「占用公募制度」が創設されたことから、公募内容は前回とは一部異なる。

 なお、北側区画の事業予定者であるウィンド・パワー・エナジーは、昨年11月に着工届を提出しており、現在は風力発電機の国内メーカー採用に向けた実証実験を実施しているところ。この実験結果を踏まえて発電機メーカーを絞り、製作の発注をかけるとともに工事に着手すると見込まれる。

 ウィンド・パワー・エナジーはウィンド・パワー・グループ、SBエナジー、およびオリックスが共同出資し、この事業のために設立された特別目的会社。同社の計画によると、「メガサイト鹿島」の第1期分は沖合いに5メガワットの大型風力発電機を20基設置し、発電出力は計10万キロワットとする。全体計画は、25基の設置を予定する。

 5メガワットの風車は、ローターの直径が126mとなり、全体の高さは海面から151m(県庁の高さは116m)にも及ぶ。これにより、一般家庭約6万世帯分の年間消費電力に相当する約2億4500万キロワット時の年間発電量を見込み、その全量を東京電力に売電する。

 第1期分20基の事業費には約530億円を予定し、最長で20年間発電する。当初は27年度前半頃に変電所などの陸上工事に、28年度前半頃に風力発電施設などの海上工事にそれぞれ着手して、29年度後半頃の施設完成と発電事業開始を目指していたが、数年程度遅れており、発電開始時期は未定となっている。

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