文館復元へ調査着手を 旧弘道館保存活用計画 委員会で承認 利便性向上は31年度までに

[2017/2/1 茨城版]
 県公園街路課は1月30日、県三の丸庁舎会議室で第6回目の「旧弘道館保存活用計画策定委員会」(委員長・鈴木暎一茨城大学名誉教授)を開催した。概ね30年後の弘道館のあり方を示す基本方針を策定するもので、27年度から2カ年にわたり協議を重ね、この回で計画案を取りまとめた。基本方針には、安政4年の本開館時の弘道館の姿を目指して段階的な整備を進めることとし、29年度から31年度の短期では来訪者への情報提供や利便性向上のための整備を実施するとともに、文館の再現に向けた調査・検討にも着手する。中長期では弘道館の開館時の姿の再現やガイダンス施設の新規整備を目指し、文館の復元やガイダンス専用施設の整備などを盛り込んだ。

 議事に先立ち、鈴木委員長は各委員にこれまでの協力を感謝し、「安政4年の創建当時の姿を後世に継承していくのは意義深い。範囲を3万2000坪と確定したことも大きな成果だ」と評価した。また、「計画を作っても、実行しなければ絵に描いた餅であり、今後は官民みんなで考える気運を醸成することが大きな課題になる」と述べた。

 この計画は、「旧弘道館」の本質的価値を適切に保存し、次世代へと確実に伝えていくことを目的として作成したもの。「旧弘道館」の歴史や現状を整理し、特別史跡の本質的価値と構成要素の明確化、保存管理をしていくための基本方針や方法、現状変更などの取扱基準、整備・活用の基本的考え方を示し、今後、「旧弘道館」の取り扱いの指針として位置付けられる。

 今回、委員に示した計画案によると、計画の対象範囲は特別史跡「旧弘道館」の指定範囲としている。なお、特別史跡内の重要文化財の建造物の保存活用計画については、今後、別途策定する。旧弘道館は大正11年に国の指定史跡となり、昭和27年には特別史跡に指定された。また、特別史跡指定地内の正庁、至善堂、正門が国の重要文化財指定となっている。指定面積は、3万4105平方mとなる。

 安政4年に本開館した弘道館は、全国の諸藩のなかではかなり遅い時代の開設だが、その敷地の規模は国内最大級。創建者である徳川斉昭公の特色ある建学精神や教育方針は、他藩の藩校に影響を与えた。

 これらを踏まえ、保存・活用の目標には「藩校時代から残る歴史的建造物や遺構を確実に保存管理するとともに、水戸藩の学問・教育の伝統を伝える場所としてその活用を図り、後世に継承していく」とした。

 整備の基本方針は、安政4年の本開館時の弘道館の姿を目標にして、段階的な整備を進める。29年度から31年度の短期では、来訪者に情報を提供するための整備や利便性向上のための整備を実施する。具体的には、テニスコートの撤去および跡地整備、公衆便所の建て替え、既設園路の改修、収蔵施設の改修整備などを位置付けた。

 弘道館の姿の再現やガイダンス施設の新規整備は中長期整備として、32年度以降に調査・検討や調整・協議を進める。構想としては、文館の再現やガイダンス専用施設の設置などを行って、資料の収蔵、資料の展示機能や学習機能、および来訪者の便益施設を設けることを期待している。

 文館の復元に向けては、短期の段階で必要となる遺構や建造物に関する情報を収集するための調査・研究に着手する方針。また、委員会等の専門家による協議体制を構築し、整備計画の策定を行う。これを基に、中長期で事業の認知度向上を図り復元の気運を高めるとともに、復元施設の設計や整備を実施していく。

 この計画案に対し、委員からは藩校創設時の敷地範囲について誤解の無いように表現の工夫を求める意見が出たほか、文館復元の調査を早期に着手すること、またこの計画を実際に実行に移すことを求める意見などが出された。

 県はこの委員会で原案が了承されたことから、今回の委員会の結果を反映して一部修正を加えたうえで、年度内に計画書を策定する方針。最後に県土木部の新一真都市局長は、委員の熱心な議論に感謝して「水戸市の水戸城周辺歴史的建造物整備事業などとも連携し、県民と連携して着実に実施していく」とあいさつし、計画の見直しなどでも引き続き協力を求めた。

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