建設業倒産が沈静化 東京商工リサーチ1年9カ月ぶり発生無く

[2017/12/12 栃木版]
 東京商工リサーチ宇都宮支店は、11月の県内企業倒産整理状況をまとめた。負債総額1000万円以上の整理を含む企業倒産は11件で、負債総額が6億0800万円。このうち建設業は28年2月以来、1年9カ月ぶりに発生ゼロとなった。件数上位にあった建設業の倒産が沈静化傾向を示し、10月は1件。1~11月までの累計も17件とし、45件のサービス業分類とは大きな差となっている。公共工事が前年と比較して増加していることに加え、民間需要の底上げで業界全体が好調を持続していることが要因とした。

 建設業関連では、不動産賃貸の奥戸整染(足利市)が既往のシワ寄せを理由に負債額1億円、家具・建具卸売りの麦倉産業(鹿沼市)は販売不振で負債額5600万円、道路メンテナンス機械製造のアックス(栃木市)も販売不振が理由で負債額は1200万円だった。

 奥戸整染は11月14日、宇都宮地裁足利支部から特別清算開始決定を受けた。大阪市本社の資材商社の足利事業所としての位置づけで、染色整理業を営んでいたが、平成初頭に事業活動を停止。その後は所有する不動産を賃貸するだけの業態となっていたものの、29年6月に不動産を売却。同7月には解散の手続きを行い、債務整理を進めていた。

 麦倉産業は昭和57年の創業以来、戸障子・襖などの木製建具部材を販売し、県内の木工業者を中心として営業基盤を形成してきた。しかし、住宅仕様の変化に伴い需要が減退。営業環境も厳しく、ここ数年の売上は伸び悩み、新規取引先の開拓が進まず、資金繰りは慢性的に外部資金へ依存していた。29年4月期の売上高は4100万円まで落ち込み、再建のめどが立たずに事業継続を断念した。

 建設業の好調さは、公共工事や企業の設備投資による民間需要を吸収していることが大きいとしている。 一方で、住宅着工戸数は持ち家・貸家ともに6月ごろから陰りが見え始め、大手ハウスメーカーやアパート建築会社も受注量が減少傾向で推移しているとした。工事施工を担う専門の職域工事会社は職人が不足気味で、仕事量を消化しきれない下請企業も数多く、建設業の倒産は引き続き少ない状況が予想されている。

 11月の件数は前月に比べ2件減少し、前年同月と比べ5件減少した。負債総額は前月比18億3300万円の減少、前年同月と比べ63億7400万円減となっている。8月が一桁台に減少したものの、3カ月連続で二桁台の企業倒産が発生。11月は27年以降二桁台の発生を持続している。業種別ではサービス業分類が5件でトップ、製造業と販売業(小売)が各2件で、農業・鉱業と販売業(卸売)が各1件となった。

 11月の倒産原因は、販売不振が8件でトップ。次いで、既往のシワ寄せ(慢性的赤字)が2件で、不況型の原因が計10件を占め、過小資本が1件だった。ここ数年の傾向と同様に、販売不振による原因が大半を占めており、1~11月の累計で、販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金回収難で構成される不況型倒産が80.4%と、今後も不況型倒産を中心とした内容で推移する見通しを示している。

 倒産別形態では、破産が8件でトップ、銀行取引停止処分・内整理・特別清算が各1件。29年1~11月の累計でも破産形態が80.6%を占めており、今後も消滅型倒産中心で推移する見通しとしている。

 同宇都宮支店によると、サービス産業を中心に引き続き小口倒産が目立っているとし、2000年以降の設立が5件、従業員が実質経営者1人の企業が8件と際立っているとした。倒産の多くは、小規模事業者が事業の転換や経営ノウハウの欠如で行き詰まるケースが多く、政府の施策である赤字の小規模事業者へのサポート体制が未だ浸透していないとしている。

 年末の10~12月にかけて例年、倒産が多発傾向にあり、資金繰りを支える上で手厚い支援策が求められているとした。金融機関の支援は不可欠とし、商工会団体のサポートに加え、各市町の経済産業振興部署の支援も国の方針に沿って実行しているものがあり、これらの支援を有効に活用するため、零細事業者は柔軟な経営のかじ取りに取り組むことも必要とした。

 なお、倒産件数にカウントしない小口倒産(負債総額1000万円以下)は、前月と同じ2件としている。

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