優先交渉権者に竹中工務店 新市民会館施設建築物 ECI方式のプロポ結果(水戸市泉町再開発組合)

[2018/7/11 茨城版]
 泉町1丁目北地区市街地再開発組合(宇野光一理事長)は10日、新市民会館等施設建築物新築工事の優先交渉権者選定に係る公募型プロポーザルの最終審査結果を公表した。プロポーザルには竹中工務店東関東支店(千葉県)1者が参加し、評価委員会(会長・浦江真人東洋大学理工学部建築学科教授)の審査の結果、100点満点中60.04点を獲得して優先交渉権者に選定された。今後は、同社の技術協力を得て年度内に実施設計を策定するとともに、約36カ月の工期で解体工事や建築工事などを実施し、開館準備を経て34年9月のオープンを目指す。

 水戸市民会館は東日本大震災で被災して使用不能となり、新たな施設の一日も早い完成が望まれていることから、事業スケジュールを遅延させることなく、予定する事業費内で確実に建設することが求められていた。

 また計画する施設建築物は、木材と鉄骨、コンクリートの混構造建築物で技術的難易度が高く、大量の大断面集成材の安定的な調達も求められる。さらに、敷地内既存建物の地下躯体が新築建物の底盤より深い位置かつ新築建物の支持地盤である砂礫層よりも深い位置に存在している点など、建設にあたり施工者の高い技術力が求められる内容であった。

 このため、水戸市と再開発組合が発注方式を検討した結果、施工者の立場から高度な技術提案および技術協力を実施設計に取り入れることで、工程管理やコスト管理などの潜在的なリスクを低減できる「優先交渉権者技術協力方式」(ECI方式)を導入した。

 3月7日には、優先交渉権者選定に係る公募型プロポーザルの実施要項を公告。事業意図や設計意図の理解と技術協力業務の実施方法、耐火木部材などの課題に対する技術的所見、水戸市内の事業者の活用に関する提案やVE提案などを求め、実施設計において発注者や設計者と協働し、提案内容などを反映させることのできる意欲と資質の高い参加者を募った。

 評価委員会は、このECI方式の導入を「適切な判断であった」と評価。「参加者は1者のみであったが、提出された技術提案書は本プロジェクトや設計者の意図を十分に認識し、設計内容について深い理解度を持って十分に検討がなされており、参加者の知識、経験、技術の高さが活かされた特色のある内容であった」と講評した。

 竹中工務店の提案の個別評価を見ると、「技術協力業務等の実施方法及び実施体制」ではECI方式の特性を活用し、プレキャスト化やユニット工法の採用を早期に取り入れる具体的な提案などが評価された。「施工・工程計画についての提案」では、大空間の構築や地下躯体撤去工事の仮設計画に関して合理的な提案などが評価された。

 「耐火木部材の課題に対する技術的所見」は、耐火木部材を利用した建物の施工実績を多数有しているとともに、耐火木部材使用時の課題や安全性の検証方法に関して適切な理解に基づき具体的で詳細な提案がなされており、高く評価された。「既存建物の地下躯体解体工事と新築建物の支持地盤構築に対する技術的所見」は、既存建物の地下躯体の残置が周辺に及ぼす影響、工期短縮および工事費縮減などの多様な視点に立った積極的な提案がなされるとともに、残置した場合の支持地盤としての適切な検討が評価された。

 このほか、「工事状況の市民への公開方法についての提案」は情報公開センターの設置による情報提供の提案が、「水戸市内事業者等の活用に関する提案」では各項目の具体的な経済効果を示すとともに市内建設業者への教育・支援の実施が特徴的な提案であると、それぞれ評価された。「価格項目」は、VE提案について計画内容の改善案を含む様々な視点から総合的な提案がなされており、工期短縮や工事費縮減が期待される案となっている。

 新市民会館の施設建築物は主に劇場、展示場、商業に類する用途を供する複合施設とし、RC造一部S造、木造、地上4階地下1階建て、延べ約2万2973平方mの規模で計画。工事の範囲は建築工事と電気設備工事、機械設備工事、敷地内の外構工事、植栽工事および地下部の解体工事で、工期は34年2月28日までを予定する。工事規模は153億円以下を想定している。

 本年5月24日には事業計画認可を取得し、実施設計を現在、伊東豊雄建築設計事務所・横須賀満夫建築設計事務所JVに委託して進めている。この後は、優先交渉権者からの技術協力を得ながら本年度内に実施設計をまとめるとともに、12月にも権利変換計画認可の取得を目指す。

 工事は一部を本年度中に着工し、地上部解体工事、地下部解体工事および建築工事など約36カ月の工事で施工する。34年度は前半に開館準備を行って、9月のオープンを目指す。

 なお、工事に際し組合では、地域精通度の活用や地元企業の育成と担い手の確保を目的に、優先交渉権者に地元企業とのJV結成を求める方針。構成員は4から5者とし、実施設計完了後の見積合せまでに要件を満たした市内業者と結成するものとする。

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