年度内の完成目指す 那珂川魚類迷入試験施設 一般競争を9月開札(霞ヶ浦導水事務所)

[2018/7/28 茨城版]
 国土交通省霞ヶ浦導水工事事務所(田畑和寛所長)は、本年4月の那珂樋管工事の差し止めを求めた訴訟の和解を受け、8月上旬から魚類迷入試験施設の整備に着手する。26日には、「那珂川魚類迷入試験施設工事」に係る一般競争入札を公告し、9月11日の開札を予定している。施設は年度内に完成させ、31年度からの試験開始を目指している。

 霞ヶ浦導水事業は、流況調整河川として那珂川から霞ヶ浦、利根川までの延長約45.6kmを地下トンネルで結ぶもの。霞ヶ浦や桜川などの相互の水を行き来させることによる「水質浄化」と、各河川の「水不足の軽減」、那珂川や霞ヶ浦で新たな水道用水、工業用水を供給する「新都市用水の確保」の3つを主な目的としている。全体事業費には約1900億円を見込み、29年度までに1534億円を投じている。

 事業は昭和51年から調査などに着手し、昭和59年に着工した。平成7年には霞ヶ浦と利根川を結ぶ利根導水路(延長約2.6km)が完成し、現在は水資源機構で一部機能の供用を開始している。

 那珂川から霞ヶ浦の土浦放流口までを結ぶ那珂導水路は、那珂川から水戸立坑までを結ぶ水戸トンネル(延長約6.8km)と、水戸立坑から霞ヶ浦の高浜機場までを結ぶ石岡トンネル(延長約24.7km)、高浜機場から土浦放流口まで結ぶ土浦トンネル(延長約11.6km)の総延長約43kmで計画する。工事は泥岩が多く地盤の固い水戸トンネル側をφ4mのNATM工法で、比較的地盤の軟らかい石岡トンネル側をφ3.5mのシールド工法で進め、途中の那珂機場と桜機場、高浜機場にポンプ施設が整備される。これまでに水戸トンネルが完成し、石岡トンネルは全6工区のうち約3割となる2工区分の延長7.4kmが21年度までに完成した。

 その後、22年9月に国土交通大臣から関東地方整備局長に対してダム事業の検証に関する検討指示が出されたため、事業を中断。整備局では「霞ヶ浦導水事業の関係地方公共団体からなる検討の場」を設置するなど検討を進め、26年8月に事業継続の方針が示され、27年度から事業を再開した。一方、本県や栃木県にある流域漁協から霞ヶ浦導水事業の那珂樋管工事差し止めを求めた訴訟を起こされていたが、本年4月27日に和解が成立している。

 今回整備する魚類迷入試験施設は、那珂機場の那珂川取水口(那珂川河口から18.5km)に設置する。8門ある取水口のうち4門を活用し、稚鮎などの流入状況を調べて最適なメッシュの形態などを探ることで、残りの4門の整備方針を決定していく。工事は近く入札手続きに入り、年度内にも完成させて31年度から試験を開始する意向だ。入札参加資格は土木CまたはB等級で、県内に本店や支店または営業所がある者などとする。

 一方、石岡トンネルの未施工区間は用地の取得状況や予算付けなどを見ながら進める考え。現在、石岡トンネル区間の用地取得率は約97%となり、35年度ごろの供用開始を目指して早期の着工を図る。本年度の事業費には約11億5000万円を確保している。

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