地下の動線など変更 建築物実施設計の中間報告(水戸市新市民会館)

[2018/11/13 茨城版]

 水戸市は9日の市議会特別委員会に、新市民会館施設建築物の実施設計の中間報告を行った。昨年度に公表した基本設計から大きく異なっているのは、地下駐車場からの通路を裏動線から表動線に、ホワイエに設置するエスカレーターを2階までから4階までへと変更するとともに、大ホールのイメージ図も新たに示した。市によると、実施設計は年度内にも完了の予定。あわせて権利変換計画の認可取得などを行い、31年3月には泉町1丁目北地区市街地再開発組合が解体整地工事や施設建築物新築工事の請負契約を締結する見通しだ。

 新市民会館整備事業は現在、ECI方式で選定した竹中工務店の技術協力も得ながら、伊東豊雄建築設計事務所・横須賀満夫建築設計事務所共同企業体で実施設計の策定作業を進めている。今回は実施設計の現状について、市議会の新市民会館建設及び周辺整備調査特別委員会に報告した。

 新市民会館は、泉町1丁目北地区第一種市街地再開発事業の主要施設となるもの。実施設計の中間報告によると、施設建築物は敷地面積8287平方mにRC造一部S造・木造地上4階地下1階建て、建築面積6951平方m、法定延床面積2万3213平方mの規模で計画する。主要用途は劇場のほか、物品販売業を営む店舗を設ける。

 内部には、大ホールと中ホールにそれぞれ舞台や客席、ホワイエ、楽屋を、小ホールに大練習室を設ける。このほか、展示ホール部門に展示室、会議室部門に各種会議室、創造支援部門にスタジオ、和室など、交流部門にやぐら広場やカフェレストラン、各種ラウンジを、管理運営部門に事務室などを設置する。

 配置計画は、大ホールを敷地中央に置いて高さを抑え、周囲に圧迫感の少ない建物とする。南側(国道50号側)には商業エリアやスタジオ、展示室、会議室を設けて日常的なにぎわいを、北側(水戸芸術館側)には大ホールのホワイエを配置して芸術館と相まった文化芸術の顔をつくる。

 大ホールは3層構成で計2000席の観客席を有し、これまで県内では開催が困難だった大規模な催しを実現できるようにする。多目的ホールでありながら、高い音響性能を確保し、様々な演目に高水準な専門性能を有するホールを目指す。

 中ホールは観客席482席の、日常的に使いやすい規模のホールとし、大ホールと同じく様々な催し物の開催が可能な多目的ホールとする。小ホールは大練習室として、大・中ホールのリハーサル室や控室、各種講座や市民の活動発表の場、講演会や式典の会場などとしての利用を想定する。

 やぐら広場は水戸芸術館の屋外広場と向かい合う屋内広場で、コンベンション利用時のパネル展示やマーケット、スポーツのパブリックビューイングを行うことができるようにする。また、仮設設備ピットを床面に設け、各種イベントへの対応も可能にする。

 展示室は可動式パネルを自由に組み合わせることで、様々な展示場や交流会場として利用できる汎用性の高いものとし、また市民の文化芸術の活動・創造の場として様々なプログラムに対応できるスタジオも計画する。3階に設ける会議室は、大・中・小の異なる規模や仕様を用意し、様々なニーズに応える。

 防災計画は、帰宅できない来館者が多く発生することも想定し、適切な備えを計画する。やぐら広場や2階ホワイエを帰宅困難者の滞在場所とするとともに、防災用備蓄倉庫の確保や防災センターの設置、自家発電設備の設置や災害時の上水供給・トイレ使用などを可能にし、利用者の保護や避難場所の確保に努める。また、施設建築物の耐震安全性の確保や耐火性能に適した木材の利用、ガラス面や天井面の安全性の確保にも努めて、災害に強い安全性を確保する。

 環境計画は、熱源に空気熱源ヒートポンプを主体に熱源地下水利用ヒートポンプチラーも設けて、効率的な省エネルギー化を図る。空調システムは床輻射式冷暖房や居住域空調、個別空調を適材適所で用い、最適効率熱源運転を制御するシステム(BEMS)を導入して設備効率を高める。

 また、外装にはLow-eペアガラスや日射遮蔽ルーバー、高断熱材など高性能な外装システムを導入して空調負荷を低減し、屋上緑化にも努めて建物の環境性能向上とヒートアイランド現象低減に貢献する。

 新市民会館の実施設計では、事業スケジュールを遅延させることなく、予定する事業費内で確実に建設するため、施工者から高度な技術提案や技術協力を取り入れる「優先交渉権者技術協力方式」(ECI方式)を導入。公募型プロポーザルで竹中工務店東関東支店(千葉県)を選定し、現在作業を進めている。

 工事に際しては、この優先交渉権者に地元企業4~5者とJV結成を求める方針。地上部解体工事、地下部解体工事および建築工事など約36カ月の工事で施工する計画で、工事費には既存地下躯体の解体工事費約5億円、建築工事費約160億円程度を見込んでいる。

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