高砂熱学工業など3社 本社移転補助金第3回認定 研究開発施設を移転・新設(県産業立地課)

[2019/1/23 茨城版]
 県産業立地課は22日、「本社機能移転強化促進補助金」として新たに「高砂熱学工業」(東京都新宿区、大内厚代表取締役会長兼社長執行役員)、「ヴァレオジャパン」(東京都渋谷区、アリ・オードバディ代表取締役社長)、「積水化学工業」(大阪府大阪市、高下貞代表取締役社長)の3社を計画認定した。高砂熱学工業には同日、知事応接室で大井川和彦知事から大内会長に認定書を手渡した。同社は約90億円を投資し、つくばみらい市に技術研究所と本社の企画開発部門を移転して「イノベーションセンター」(仮称)を新設する計画。またヴァレオジャパンは行方市に先進運転支援システム開発部門を移転し、積水化学工業はつくば市にリチウムイオン電池評価部門を新設する計画となっている。

 認定書の交付にあたり、大井川知事は改めて大内会長に、本県への研究開発機能および本社企画開発部門の移転を感謝した。「この事業で都心に立地する本社の主要機能が移転されるのは初めてであり、本県の事業環境や生活環境などが評価されたとものと大変喜ばしく感じる」と述べ、つくばみらい市とともに県も最大限の支援を約束した。

 大内会長は「2023年の創立100周年を記念し、神奈川県厚木市にある技術研究所の移転を検討してつくばみらい市を移転先に選定したが、県から補助金の提案を受けたことで、さらに本社機能のうち新技術開発部、新規事業開発部、IoT・AI開発部なども統合したイノベーションセンターを設立することにした」と経緯を説明した。また、立地場所の近隣に学校があることから「小中学校の体験学習を受け入れて、我々の事業に興味を持っていただけるような活動も行っていきたい」と地域貢献活動に取り組む姿勢を示した。

 この補助金はAIやIoT、ロボット、次世代自動車など新たな成長分野の本社や本社機能、研究所などの誘致を図るため本年度に創設した制度で、全国でもトップクラスの補助率・補助上限額を設定している。

 補助対象は、新たな成長分野(AI・IoT・ロボット・次世代自動車)の研究所・本社機能などの県外からの移転で、移転人数は5人(研究所の場合は10人)以上。対象経費は施設整備投資に係る経費、雇用にかかる経費、および賃借料で、補助率は施設整備投資分の10%(成長分野の中でも顕著なものは15%)と雇用分。本年度の県の当初予算には、予算額50億円を確保していた。

 この制度に基づき昨年8月29日には、第1回認定として「日立オートモティブ電動機システムズ」(ひたちなか市、山口登代表取締役社長)と「クレハエクストロン」(東京都大田区、米澤哲代表取締役社長)の2社を認定。10月26日には第2回認定として、「オートリブ」(神奈川県横浜市、デイル・スティーブン・クック社長)と「ダイプラ」(大阪府大阪市、鳥本匡聡代表取締役社長)の2社を認定した。あわせて、同じく本年度創設した「IT関連企業等オフィス賃料補助金」で、東京の本社機能を水戸市内に移転するソフトウェア業の「アプリシエイト」を計画認定している。

 空調工事最大手の高砂熱学工業は、空調工事を軸とした総合的なシステムエンジニアリングを手掛けて資本金131億円、売上高2899億円(連結)の事業規模を誇る。イノベーションセンターは、TXみらい平駅に近いつくばみらい市富士見ヶ丘の2.3haに地上2階建て、延べ約1万1600平方mの規模でオフィスと研究施設を整備する。

 事業費には、設備投資予定額と土地代、人件費などをあわせて概算で約90億円を見込み、県からの補助額は約4億9000万円を見込む。補助対象雇用数は約120人で計画し、2020年3月の供用開始を目指す。

 大内会長は記者に対し、「かなりの設備投資額が必要な中で、県の補助金を受けられることは大変ありがたい」と話し、候補地の中から本県を選んだ決め手について「まずは地の利で、つくばエクスプレスで秋葉原へのアクセスが良い。さらに近隣には産業技術総合研究所をはじめとする研究機関や筑波大学が立地し、産官学の連携が強化できることも大きな要素」と説明した。

 また、ヴァレオジャパンは自動車関連システムおよび部品の研究開発・製造・販売を手掛ける、フランスのヴァレオ社の100%子会社。資本金91億円、売上高840億円で、世界全体では33カ国に展開し売上高は2兆4300億円となる。今回は行方市芹沢地内の遊休地に先進運転支援システム開発部門を移転し、「茨城先進運転支援システム開発評価センター」として20年12月にも供用を開始する。概算事業費は約25億円で、県からの補助額は約1億3000万円の見込み。

 東証一部上場企業の積水化学工業は住宅、建材、高機能プラスチックなどを取り扱う大手化学メーカーで、資本金1000億円、売上高1兆1074億円(連結)。同社はつくば市和台の筑波北部工業団地内に概算事業費約20億円を投じ、リチウムイオン電池評価部門を新設して研究開発機能を強化する。補助見込額は約1億円で、供用開始は19年9月の予定。

 ヴァレオジャパンのアリ・オードバディ社長は「自動運転システムの技術開発のため、テストコースを含む研究開発拠点の候補地選定を進める中、県から補助金の活用を提案いただいたことが行方市内に設置する決め手の一つとなった」とコメントした。

 積水化学工業の上ノ山智史取締役専務執行役員LBプロジェクトヘッドも「今後、需要拡大が見込まれるスマートハウスや次世代車載向けのリチウムイオン電池事業の企画、研究開発機能の強化が必要となる中、県補助金を活用して拠点整備することができ、大変ありがたい。今回の拠点整備で開発体制を強化し、さらなる事業拡大につなげたいと考えている」と話した。

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