県北地区の大規模風力発電事業 適切な措置求め答申 6万キロワット規模で来年3月着工(県環境影響評価審査会)

[2019/1/25 茨城版]
 県環境影響評価審査会(委員長・天野一男茨城大学理学部名誉教授)は17日、本年度第5回の環境影響評価審査会を開催し、諮問された「茨城風力発電事業(仮称)に係る環境影響評価準備書」について審査した。今回の審査会で委員から示された意見を踏まえ、文面を調整したうえで近く県知事に答申し、それを元に県知事は2月9日までに意見書を国に提出する。

 「茨城風力発電事業」(仮称)は、インベナジー・ジャパン合同会社(東京都千代田区、天野明職務執行者)が計画する風力発電事業。北茨城市、高萩市、常陸太田市および福島県白川郡塙町、矢祭町の行政界付近を事業実施区域とし、発電規模は最大6万キロワットで計画する。

 準備書によると、事業は再生可能エネルギーの導入促進とともに、地元への貢献や地域経済活性化にも取り組む。建設中や操業期間中に地元企業を起用し、操業や保守の技術者も地元から雇用する計画で、管理棟には地元小中学生向けに風力発電を教育する場も設ける。

 事業実施区域は、北茨城市、高萩市、常陸太田市および福島県東白川郡塙町、矢祭町の行政界付近にまたがる約926haで、管理用道路の延長は約8.5kmとする。風力発電機は、1基あたり定格出力4200キロワットの設備を19基設置する計画。ブレード枚数は3枚、ローター直径117m、ハブ高さ110mの規模で、耐用年数は20年を見込む。

 送電線設備は、電圧66キロボルト(各風車から変電所までは33キロボルト)で総延長約16.8km(変電所から開閉所)。既設道路への地下埋設を基本とし、事業実施区域内で埋設できない場合はコンクリート柱、区域外で橋梁部で共架できない場合は鉄塔で架空送電する計画とする。

 工事は20年3月に着工して試運転を22年7月に開始し、同年12月には運転を開始する予定。工事の内容は、搬入道路(管理用道路)工事や風力発電機組立ヤード造成工事、風車基礎工事、風力発電機組立・据付工事、および電力工事として連系変電所工事や送電線工事、配電線工事を実施する。

 工事中は工法や工程に十分配慮し、工事関係車両台数の平準化および低減に努めることで環境影響の低減を図るとともに、人と自然とのふれあいの活動の場へのアクセスに配慮する計画としている。

 また濁水対策のため、沈砂池などの濁水対策設備からの排水を近接する林地で土壌浸透処理するとともに、土砂流出防止柵(板柵工)を適所に設置して土砂流出対策を講じる計画。動物や植物の保全については、可能な限り既存道路などを活用し、造成を必要最小限にとどめることで影響を低減する計画とした。

 委員からは、バードストライクやバットストライクに対する懸念が数多く示されたほか、搬入路の復旧についての質問も出た。事業者は県道や町道、林道といった既存の道路をできるだけ使用し、曲率のきつい箇所は部分的に拡幅することで新しい作業用道路をなるべく作らない考え。新たに開設した道路も林業で活用するなど、現状復旧するのではなく、引き続き地元で有効に利用してもらう方向で考えていると答えた。

 審査会の答申案によると、事業者には周辺住民から事業内容への十分な理解を得るほか、準備書に記載されている環境保全措置を着実に実施するとともに、個別的事項を十分に検討し、環境影響の可能な限りの低減・改善に向けた適切な対応を求めている。

 個別的事項の主なものは、「水質」について工事に伴う濁水による河川への影響を最小限に抑えるため準備書に記載した環境保全措置を適切に実施するよう求め、「動植物」は事後調査を行い必要に応じて環境保全措置を実施するよう求める。特にバードストライクなどは、調査頻度や調査範囲の見直しを検討して被害の全体像を把握することを求めている。

 このほか、「廃棄物等」では工事の伴う廃棄物および残土について関係法令を遵守して適切に処理すること、「その他」では工事にあたって法令を遵守するとともに環境保全措置を適切に実施するよう盛り込んでいる。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.