3事業の継続「妥当」 事業便益評価に工夫も(県公共事業再評価委員会)

[2019/2/9 茨城版]
 県公共事業再評価委員会(委員長・井上拓也茨城大学人文社会科学部法律経済学科教授)は8日、県庁の庁議室で本年度の委員会を開き、国道125号桜川バイパスなど3事業の再評価を実施した。審議の結果、全ての事業の継続を「妥当」と判断する一方、重要な事業であってもB/Cの数字が『1』に近づいていることから、事業便益については国交省のマニュアルにこだわらず、地元ならではの評価項目を設けても良いといった意見も付された。

 議事を前に、政策企画部の盛谷幸一郎部長は「厳しい財政状況の中、公共事業の執行に一層の効率化・重点化を進めている」とし、「社会情勢の変化や投資効果の観点から再評価し見直すことが重要で、この委員会でも10年度から昨年度までに364事業を審議し、緒川ダムなど29件で中止や見直しを行った」と説明。「今回も忌憚のない意見をいただいて、効率的・効果的な行政運営に努めていきたい」とあいさつした。

 また井上委員長は、「前回まで委員長だった佐藤先生から最後に3点の指摘があり、特にB/Cがどんどん1に近づいてしまっていることがあり、事業を評価するときに従来的な観点だけでいいのか、もっと色々な意見があって良いのではないかということだったので、様々な観点から評価していただければ」と話して、委員に闊達な意見を求めた。

 今回審議の対象となった事業は、地方道路整備事業で国道125号の桜川バイパスと古河拡幅の2事業、および街路事業で都市計画道路若松行里川線の計3事業。いずれも事業長期化の要因に用地交渉の難航を挙げ、完成年度を延長する。

 国道125号桜川バイパスは、稲敷市阿波から神宮寺までの区間で現道の幅員が狭く線形が不良で歩道も未整備であるため、2004年度から延長2400mのバイパス整備事業に着手した。当初は20年度の完成を予定していたが、事業地内に境界未定地や共有地があり、また相続が発生したため、用地交渉が難航して事業が長期化している。

 事業はこれまで、事業費ベースで66.3%が進捗。今後については、県道江戸崎神崎線から東側の区間の用地買収を優先的に進め、まとまった箇所から工事を実施していく。残る用地についても、稲敷市の協力を得ながら集中的に交渉して早期解決を図る。

 この路線の整備により、走行時間の短縮(約32億円)や走行経費の減少(約5億円)、交通事故の減少(約1億円)などおよそ38億円の効果が見込まれ、これを事業費(26億円)と維持管理費(2億円)の計28億円で除したB/Cは1.3となる。

 県は今回、事業期間を3年間延長して23年度までとするとともに、県道江戸崎神崎線から東側の約1.7kmについて21年度の供用を目標に、重点的に整備を進めて事業効果の早期発現に努めると説明した。

 同じく国道125号の古河拡幅は、国道4号との交差点で交通渋滞が著しいため、古河市西牛谷から三杉町までの1400mで現道拡幅およびバイパスの整備を行う。08年度から事業に着手して、これまでの進捗率は事業費ベースで20.2%となっている。

 当初は20年度までの13年計画で事業を進めてきたが、市街地部なことから用地取得が難航しており、また古河市施行の土地区画整理事業の進捗も踏まえて、事業期間を5年間延長し25年度の完了を目指す。

 今後については、バイパス部の一連で用地取得できた箇所から工事を行うほか、用地についても交渉に進展が見られたため、バイパス部の残る用地の取得を重点的に進めていく考え。

 この路線の効果は、走行時間の短縮(約56億円)や走行経費の減少(約3億円)が図られ、歩行者や自転車の安全性向上も図られる。これら効果を事業費(31.5億円)と維持管理費(1億円)の計32.5億円で除したB/Cは1.8となる。

 古河市の古河駅東部土地区画整理事業の進捗率は現在46%となっており、区画整理地内は古河市と調整を図りながら事業の進捗を図る。区画整理地外は用地のまとまったところから工事を推進し、早期の事業効果発現に努めていく。

 街路事業の都市計画道路若松行里川線は、石岡市府中地内の延長373mについて歩道整備による安全な歩行空間の確保、交差点の改良による自動車の円滑な通行の確保、および中心市街地の活性化を目的とし、03年度に事業に着手した。

 しかしながら、土地境界問題や移転工法、単価不服などで用地買収が難航し、当初計画の08年度完成が困難となって事業が長期化している。今回、残る用地買収に4年、工事に2年(用地取得部から順次実施)を要するとして、事業を5年間の延長して23年度完了を目指す。

 用地については残る1000平方mを22年度末までに完了させ、工事は用地が確保され次第、国道355号の交差点影響区間となる約150mを優先して実施する。残る約220mは、23年度末までに全線供用を図る。

 事業の効果は、歩行者の安全性、快適性の向上(約24億円)および自転車・歩行者空間の整備効果(約0.5億円)を合わせ、24.5億円を算定。事業費は17.1億円、維持管理費は0.3億円で、B/Cは1.4となる。

 委員からは、今後整備する道路については路肩を広く取って自転車通行空間を確保することや、電線の地中化を推進していくことが重要といった意見が出たほか、毎回事業が長期化している理由に用地交渉の難航が挙げられていることから「何かしらやり方を変えていくことが必要」などの指摘があった。

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