五浦美術館の空調改修 本年度に設計 空調システム全体も見直し(県教育庁)

[2019/10/5 茨城版]
 県教育庁は、空調設備の不具合で企画展を中止した県天心記念五浦美術館について、当初の予定を前倒して本年度から空調設備改修の設計に着手し、20年度に工事を実施する考え。改修に際しては故障した機器だけでなく、空調システム全体の見直しも含めて、現在、検討を進めている。県議会第3回定例会の予算特別委員会で、豊田茂委員の質問に柴原宏一教育長が答弁した。

 豊田委員は、「県北地域の文化の拠点である五浦美術館でこのほど、空調設備の不具合による企画展の中止が発表された。企画展示室の温度・湿度制御ができずに、収蔵庫の空調設備も不安定であると聞いており、歴史的に貴重な美術品や美術資料への影響も懸念される」と指摘して、まず、空調設備の不具合の原因と美術品や美術資料への影響について質問した。

 五浦美術館は1997年11月8日に開館し、開館から22年が経過して施設設備の一部で老朽化がみられることから、県では日常のメンテナンスや定期的な点検を実施してきた。特に空調設備については、立地状況を考慮して塩害地域対応の機器を設置するとともに、2016年度には冷水と温水を発生させることで館内の湿度を一定に保つ装置であるチラー1台を更新するなど、維持管理に努めてきた。

 柴原教育長は「本年7月に入り、経年劣化や急激な気温上昇の影響と思われるが、4台あるチラーのうち2台が相次いで不調となり、これまで年間を通して常に60%程度を保っていた展示室と収蔵庫の湿度が上昇した。特に企画展示室では、1日の湿度差が6~8%の間で上下する状況が続き、改善が見られなかった」と説明した。

 そのうえで「急激な湿度の変化は、美術品や美術資料にとって紙の収縮による破損などの恐れがあることから、その保護を最優先に考え、やむを得ず企画展の中止を決定した。また、岡倉天心などに関する書簡、写真など貴重な美術資料を多数所蔵している収蔵庫は、補助的な手段として除湿器や湿度を調節する薬剤を使用することで現在は湿度が安定しているが、今後は近代美術館や陶芸美術館の収蔵庫ほか民間の美術品専用倉庫への移動を計画的に実施し、美術品や美術資料の保護に万全を尽くす所存」と報告。加えて「現在稼働中の機器でも常設展示室の湿度は安定しているので、映像ギャラリーも含め現在も使用は可能となっている」と答弁した。

 続けて豊田委員は、空調設備の今後の改修の方針やスケジュールについて質問した。

 これまでも県は、美術館・博物館の空調設備の改修を計画的に進めており、五浦美術館については20年度に設計に着手する計画としていた。しかし今回、不具合が発生したことから、柴原教育長は「計画を前倒して、故障した装置2台の更新だけではなく、空調システムの見直しを含めて現在検討を進めている」と明らかにし、「少しでも早い企画展の再開に向け、本年度は改修工事の設計を実施し、来年度中に着工したい」との考えを示した。

 続けて「なお、20年度に工事に着手する予定ではあるが、機器の発注後にメーカーが機器を製造するのに約半年程度時間を要することから、20年4月からの休館ではなく、少なくとも機器が完成するまでの期間、現在と同様に常設展示室や映像ギャラリーなどの開館は可能」とし、「機器の製造完了後は、既設機器の撤去や新たな機器の設置工事のために空調設備全体を停止せざるを得ないことから、この約半年間は休館となる」との見通しを示した。

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