被害受け課題を協議 久慈川・那珂川減災対策協議会 河川毎に部会設置も(常陸河川国道)

[2019/11/15 茨城版]
 国土交通省常陸河川国道事務所(原田昌直所長)が事務局を務める「久慈川・那珂川流域における減災対策協議会」は13日、常陸大宮市役所で本年度2回目の会合を開いた。台風19号の被害を受けて急遽開かれ、国や県、沿川15市町村の代表者らが出席。台風19号の被害状況や各自治体の対応状況などが報告され、ハードやソフト面での課題について意見を交換した。

 協議会には構成する各自治体の首長らのほか、今回は関東地方整備局の佐藤寿延河川部長や県の伊藤高土木部長らが出席した。議事を前に佐藤部長は、国管理河川の堤防決壊などを陳謝した上で、この被害によってハード・ソフト両面に多くの課題が明らかになったとして、「本日は水害から得られた課題に対し、将来どのように備えていくのかを関係者が一堂に会して解決を図っていくスタート」と話し、忌憚のない意見を求めた。

 議事では、水戸地方気象台が台風19号の気象状況を解説したあと、久慈川・那珂川の出水と被害状況を原田所長が説明。堤防決壊や越水などにより久慈川流域では1200ha、那珂川流域では茨城県内で2800ha、栃木県内で600haの浸水被害があり、水戸北スマートIC付近で最大水深約7.2mを記録したことなどが報告された。

 各自治体からは、被害状況や災害時対応などを説明。久慈川と那珂川の堤防決壊などで甚大な被害を受けた常陸大宮市は、被害状況の説明に加え、課題として▽堤防の強化と整備▽遊水地整備▽住民の避難誘導の限界──などを挙げ、堤防については決壊場所以外の損傷や不十分な箇所があるとして継続的な整備を訴えた。また、大田原市で河川浚渫の予算確保を要望したほか、多くの自治体が情報の伝達手法の課題を指摘していた。

 また、本県と栃木県の代表者からも報告があり、本県からは決壊箇所の応急復旧が完了して、今後の復旧工事も災害査定後に早期に着手すると報告した。栃木県からは、洪水浸水想定区域図作成対象外の小規模河川でも堤防決壊などによる浸水被害が発生したとして、自治体にハザードマップの策定を促した。

 台風19号被害の課題について佐藤部長は、まだ分析の途中としながらも「ハード面ではこれまでに例のなかった同時多発的な堤防決壊があり、これによりソフト面でも情報伝達に混乱が生じた」と話した。これらの課題対応は「協議会による議論になっていくが、急ぐものは優先順位を決めて実行していく必要がある」としたほか、ハード面では同じような災害を防止軽減するため「概ね5年程度で緊急に取り組むべき施策を早急に明らかにする必要がある」として、地元自治体と議論、協力しながら進める意向を示した。

 このうち、緊急的に行う事業は各河川整備計画の位置づけがあり、久慈川や那珂川は堤防整備が中心になってくると述べた。また、従来の計画で十分かどうかの検証が必要だとして、整備計画に新たな内容を盛り込んでいく必要性も指摘。スピード感を持って進めるため「河川整備計画の変更も視野に入れた検討を進めたい」などと話した。

 ハード面の基本的な考え方として、決壊が生じた整備局管理3河川の共通点には「現時点で大規模なダムや遊水地がないこと」と話し、洪水処理を河道のみで行っている現状を説明。流域全体で洪水に備えることが必要だとして、しっかりとした堤防整備を行った上で遊水地整備のほか、今後は洪水に強いメリハリを付けた土地利用とまちづくりを目指すことも重要だとした。

 このあと協議会の規約改定の説明があり、新たに久慈川流域、那珂川上流、那珂川下流の減災対策部会を設置することなどが説明された。これについて、高橋靖水戸市長からは支川も協議会全体として定めること、大久保太一常陸太田市長からは被害の大きかった大子町が入っていないことや国の進める強靱化計画の期間が短すぎることなどを指摘した。伊藤土木部長も両市長の意見に賛意を示し、事務局も次回までに規約の改定案を用意すると答えた。

 意見交換では、出席した首長から課題の指摘や各種要望などが示された。このうち高橋水戸市長は、自治体の使命は生命と財産を守る事だとしながら「逃げ遅れをゼロにすれば生命は守れるが、構造を変えないと財産は守れない」と指摘。嵩上げや拡幅、集団移転など「グラウンドデザインを協議会の中で連携し、上流から下流まで安心して住めるようなものを構築していく必要がある」と述べて、国や県には旗振り役を求め、自治体が協力できる仕組みづくりを訴えた。

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