風力発電基地港目指す 鹿島港外港地区 港湾計画一部変更を承認(県地方港湾審議会)

[2020/1/17 茨城版]
 県地方港湾審議会(会長・鬼頭平三みなと総合研究財団顧問)は14日、県薬剤師会館(水戸市)の会議室で本年度の審議会を開催し、鹿島港の港湾計画の一部変更について審議した。海洋再生可能エネルギー発電設備の導入を促進するため、外港地区の一部区域の利用形態を見直してエネルギー関連ゾーンを追加し、ここで洋上風力発電の基地港の指定を目指す。審議会は「原案通り適当」として県知事に答申したことから、今後は国土交通大臣に計画書を提出し、2月中旬開催予定の国交省交通政策審議会港湾分科会に諮問。その答申の後に国交大臣から通知を受け、3月にも港湾計画の概要を公示する。

 県が管理する重要港湾の計画変更は、県地方港湾審議会に諮問し、その答申を基に計画書を策定して国土交通省に提出する。今回は、県が諮問した「鹿島港港湾計画の一部変更」を審議した。

 議事に先立ちあいさつに立った県土木部の大野谷祐二技監(総括)は、今回の諮問について「国では洋上風力発電の導入促進を図るため、港湾に風力発電自体の搬出入・組み立ての拠点となる岸壁などの位置付けのある港を基地港湾として指定することとしている。このため本県でも港湾計画の一部変更を行い、外港地区に洋上風力発電に関する基地機能を導入する区域を位置付ける」と説明した。

 また、県土木部の青山絋悦港湾振興監は本県の港湾の最近の情勢を説明。海外の大型クルーズ船が入港したのをはじめ、RORO航路、コンテナ航路ともに取扱貨物量が順調に伸びている状況を報告した。

 今回諮問された議案は、鹿島港外港地区の港湾計画について、海洋再生可能エネルギー発電設備の導入促進に資するため、港湾の効率的な運営に関する事項やその他重要事項を変更する内容となる。

 国はエネルギー基本計画に再生可能エネルギーの拡大を位置付け、風力発電については30年度までに17年度の約3倍とする目標(5メガワット風車2000基設置に相当)を設定した。

 また、洋上風力発電の促進に向けた法制度も整備し、新たに創設した再エネ海域利用法では洋上風力発電事業を実施可能な促進区域を指定するとともに、長期占用を可能とする制度を創設。港湾法の改正では国が基地となる港湾を指定し、発電事業者に長期間貸し付け、複数事業者の埠頭の利用調整を行うことを盛り込んだ。

 洋上風力発電の促進区域の指定に向けては、国が既に一定の準備段階に進んでいる11区域を整理しており、このうち地元の合意など環境整備が進捗している4区域は有望な区域として、協議会の組織や国による風況・地質調査の準備を開始している。本県の近傍では千葉県銚子市沖が、有望な区域の1つとされている。

 洋上風力発電設備は近年大型化が進んでおり、9メガワットの設備はハブ高さが約150m、13~15メガワットは200m超にも達する。風車は長尺・重量物部材で構成するため、その搬出入や保管には特殊作業船を使用するとともに、専用の岸壁や保管ヤードを備えた基地港が必要となり、また、洋上での建設作業の期間を短くするためにもあらかじめ基地港である程度事前組立をする必要がある。

 鹿島港については、銚子市沖の促進区域に他の港よりも近く、資機材の効率的な輸送が可能なため地理的に優位な状況にある。特に外港地区は外洋に面していることから、重厚長大な資機材の搬入や搬出に際し、他の船舶との輻輳回数を低減し、航行安全の観点からも適地となる。

 そこで今回、外港地区B岸壁(マイナス14m)の延長280mとその埠頭用地5haの利用形態を見直し、ここを海洋再生可能エネルギー発電設備等の設置および維持管理の拠点を形成する区域に変更する。この区域は風車の仮置きヤードとしての十分な面積が確保でき、地耐力の強化可能な埠頭用地があることから適地となる。

 鹿島港が基地港として指定され、整備が進められれば、長尺・重量物部品の輸送・保管が可能となり、近隣の他の港では実現できない港湾機能を有することになる。このため、基地港を中心とした洋上風力発電関連の産業・研究機関などが集積し、太平洋沿岸の洋上風力発電拠点として発展することが期待できるとし、県は洋上風力発電拠点の形成を目指す考えだ。

 港湾法における基地港指定の要件は▽複数事業者の利用が見込めること▽地耐力を強化し、必要水深・延長を確保した岸壁(国有港湾施設)を有すること▽長尺資機材の保管・組立が可能な規模の荷捌き地を有すること──など。また、国交省港湾局は港湾計画で「海洋再生可能エネルギー発電設備等の設置および維持管理の拠点を形成する区域」が位置付けられていることと通達している。

 委員からは「地耐力の強化にしっかりと取り組んでほしい」との意見があり、県は「重量物が約600tとなることから、それに耐えうるだけの地耐力となるよう留意したい」と返答。また「基地港に産業・研究機関が集積する根拠は」との質問には、「欧州の先進事例にあることから期待を込めて記載した」と答えた。

 別の委員は関連事項として、鹿島港における洋上風力発電事業の状況を質問。県は「ウィンド・パワー・エナジーで5・2メガワットの風力発電設備36基を設置する計画であり、15年度には陸上の変電設備の一部造成工事に着手しているが、風車は機種の選定を改めて実施しているところで、未だに海上工事には着手していない」と説明した。

 審議会は今回の答申案について、「原案通り適当」として知事に答申することを決定。県は答申を受けて港湾計画を国土交通大臣に提出し、2月中旬を予定する国交省交通政策審議会の港湾分科会に諮問。そこでの答申を受けて国交大臣から通知されたあと、県で港湾計画の概要を公示する予定となっている。

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