整備計画の見直し必要 久慈川圏域と那珂川圏域 国と合同で検討進める(県河川課)

[2020/1/21 茨城版]
 県河川課は15日、県庁舎内で本年度第1回の河川整備計画検討委員会(委員長・武若聡筑波大学システム情報系教授)を開催し、昨年10月の台風19号の浸水被害を踏まえた久慈川圏域と那珂川圏域の各河川整備計画の点検を行った。台風の雨量や流量が、各河川整備計画の整備計画目標を上回っていたことから、整備計画を見直す必要性を示した。見直しにあたっては「水系一貫で検討すべき」との意見を踏まえ、国の有識者会議との合同開催を提案し、今後は国の那珂川・久慈川河川整備計画有識者会議と県河川整備計画検討委員会をあわせて開催するよう調整を進めていく。

 県の河川整備計画によると、久慈川圏域は日立市、常陸太田市、那珂市、常陸大宮市、大子町および東海村の流域面積950平方kmで、圏域内の全ての県管理河川33河川、流路延長301km(幹線42km、支川259km)を対象とする。

 今回の台風により、久慈川水系は久慈川や里川、浅川など10河川の38カ所で被害が生じた。久慈川の大子町区間(延長27.1km)は約194haが浸水して584戸が浸水し、常陸大宮市区間(延長13.8km)も約134haが浸水して160戸が浸水した。里川も、堤防が決壊した常福地町や茅根町で15戸が浸水している。

 一方、那珂川圏域は水戸市、ひたちなか市、笠間市、那珂市、常陸大宮市、茨城町および城里町の流域面積600平方kmで、県管理河川は48河川、流路延長228kmとなる。

 台風で藤井川や田野川、緒川など、県管理河川の被害全体の35%にのぼる25河川と1ダムの47カ所が被災した。那珂川は常陸大宮市下伊勢畑地先と野口地先、那珂市下江戸地先の3カ所が破堤し、藤井川も水戸市藤井町や成沢町で堤防が決壊して、那珂川下流部合計で1748戸が浸水した。

 これら堤防決壊個所の緊急・応急復旧は全て完了しており、11月から1月にかけて災害査定を実施したあと、出水期前までに本復旧を実施する。

 久慈川圏域河川整備計画は、対象期間を概ね30年として15年8月に策定した。治水安全度の目標は、暫定的な整備も含めて久慈川では年超過確率10分の1規模、玉川が同2分の1規模、浅川と茂宮川が15分の1規模の洪水を安全に流下させることとし、河川整備を行う際は圏域内の基幹となる河川、浸水被害の発生している河川や人口・資産が集積している区間を重点的に進める。

 河川工事の施行場所は、久慈川が大子地区約2.5kmと南田気地区約1km、岩崎地区約1kmで河道改修を実施しており、玉川も国道118号の玉川橋から市道の上玉川橋まで約6km、浅川も常陸那珂港山方線の副堰橋から国道293号の浅川橋まで約2.6km、茂宮川も国道245号の新茂宮橋から国道6号の茂宮川橋までの約3.2kmで河道改修を実施している。

 那珂川圏域河川整備計画も同様に対象期間を概ね30年として、12年3月に策定した。治水安全度の目標は、暫定的な整備も含めて緒川、大谷原川が概ね年超過確率10分の1規模、桜川と沢渡川、中丸川、本郷川、大川が5分の1規模の洪水を安全に流下させることとし、藤井川はダムの治水機能とあわせて概ね60分の1規模とする。河川整備を行う際は、圏域内の基幹となる河川や被害の軽減を図る観点から、人口や資産が集積している区間を重点的に進める。

 河川工事の施行場所は、中丸川が那珂川合流点から長堀橋までの約6.4kmの河道改修と中丸調節池を実施中。本郷川は中丸川合流点から市道までの約1.2km、大川は中丸川合流点から昭和通りまでの約2.7kmの河道改修を行っている。

 また、桜川は千波大橋から桜川橋まで約4.2kmの河道改修と桜川調節池、および桜川から千波湖までの導水施設を、沢渡川も桜川合流点から国道50号の石川橋まで約2.9kmの河道改修と沢渡川調節池を整備。藤井川は国道123号上流から石岡城里線小松橋までの約4.3km、大谷原川は藤井川合流点から中山1号橋下流までの約2.9km、緒川は緒川橋から高官木第2号堰下流までの約32.6kmで河道改修を施行している。

 今回の台風による大雨と現行の整備計画(直轄区間)の目標洪水を比較すると、久慈川の山方地点(基準地点)で流量、2日雨量(流域平均)ともに国の現行整備計画目標洪水(1986年8月)の流量・雨量を上回った。里川流域の2日雨量(流域平均)も、1986年8月洪水の雨量を上回っている。那珂川も同様に、野口地点(基準地点)で流量、日雨量(流域平均)が国の現行整備計画目標洪水(1998年8月)を上回った。

 このように、流量・雨量とも現行整備計画目標洪水を上回ったこと、さらには甚大な浸水被害が発生したことを踏まえ、県は整備計画の見直しが必要と判断して、検討委員会に諮った。見直しに当たっては、国の有識者会議での「水系一貫で検討すべき」との意見を踏まえ、国管理・県管理を問わず議論を進めていく必要があるとして、国の有識者会議との合同会議を提案した。

 これに対し、委員からも国と県、さらには上流の県との一貫した検討の必要性を指摘する意見などが出された。これを踏まえて県河川課は、近々国と合同で河川整備計画検討委員会の有識者会議を開催するよう、現在調整を進めている。

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