来年度に造成設計など あすなろの郷の建て替え 県と民間で役割分担(県障害福祉課)

[2020/1/25 茨城版]
 県障害福祉課はこのほど、「県立あすなろの郷」建て替え整備計画を取りまとめた。新たな施設は県と民間事業者とで役割分担し、民間で対応が困難な人を支援する施設(セーフティネット棟)とあすなろの郷病院は県が対応し、あすなろの郷内の生活訓練などを行う施設やあすなろの郷外の障害者支援施設には民間活力を導入する。今後は20年度から造成の設計を開始し、22年度にも県立施設や民間施設の建設予定地の造成を終了させ、引き続き施設整備を行って県立施設は24年度の完成を目指す。民間施設については20年度に、施設整備・運営事業者の公募などの手続きを進めていく。

 県立あすなろの郷は、1973年12月に「コロニーあすなろ」として開設し、その後、2003年に県立内原厚生園と統合された。敷地面積は66万5451平方mで、障害者支援施設や医療型障害児入所施設・療養介護事業所など延べ2万9745平方mの建物が設置され、県社会福祉事業団が指定管理者となっている。

 本県の知的障害者福祉の中核施設としての役割を担ってきたが、近年は利用者の重度化・高齢化のほか、多くの入所待機者への対応、施設の老朽化など様々な課題を抱えている。これまでも短期入所の定員拡大をはじめ、施設の耐震補強など必要な修繕を行ってきているが、老朽化、狭あい化が進み居住環境は厳しい状況にある。

 これらの課題に対応するため、県は16年度に「県立あすなろの郷検討委員会」を立ち上げ、施設の建て替えが提案された。その後、大井川知事が民間活力の活用を検討したとは言い切れないとして再検討を進め、「あすなろの郷整備調整会議」を設置して19年2月から5回の会議を開催し、このほど建て替え整備計画を取りまとめた。

 それによると、新たな施設の整備方針は県と民間事業者で役割分担し、県は民間事業者では対応が困難な人の支援に特化して、最後の砦としてセーフティネットの役割を担う。民間で対応可能な日中活動の支援や自立訓練などの支援、高齢障害者の支援については、民間活力を導入する。

 県立施設のセーフティネット棟は、民間事業者では対応困難な強度行動障害者や医療的ケアが必要な人など重度の障害者を受け入れ、緊急ステイや短期入所・障害児等療育支援事業など在宅の重度障害者の支援に関する事業も実施する。

 定員は200人で計画し、特に強度行動障害者に対応するエリアでは個室化して、10部屋程度を目処に居室と食堂・トイレ・浴室などで構成するユニット構造とする。新たに設ける機能は、帰省が困難な利用者の保護者が宿泊できるゲストルーム、感染症などに対応するため医療的な観察室、および屋根のあるエントランスや散策可能な屋外コースなどを設置する。

 同じく県立のあすなろの郷病院および医療型障害児入所施設・療養介護事業所(ばら寮)は、リニューアルした施設・設備のもと安心・安全な医療を提供するとともに、これまで以上に快適な日常生活の援助、療育支援を行う施設とする。重症心身障害児・者を対象とし、定員は入所40人、短期入所および入院10人とする。

 診察室、検査室、共用部分など職員の動線や機能性に配慮したレイアウトとし、医療型障害児入所施設・療養介護事業所は居室・廊下などに適切なスペースを確保する。障害者対応病院という役割を踏まえ、天井取付の移動式リフター、食堂・浴室などで酸素吸入ができる酸素パイピングなども設置。安全・安心を最優先に、防犯対策やIT活用による見守り機能の充実も図る。

 民間施設のあすなろの郷内で生活訓練などを行う施設は定員60人、あすなろの郷外の障害者支援施設は定員40~60人で計画し、あすなろの郷の現在の全入所者数をカバーする定員数を確保する。入所対象者はセーフティネットの要件以外の人で、自立した生活を目指す意思があり、訓練が可能な人とする。

 施設はグループホームやアパートなどでの生活を想定したユニット構造とし、個室のユニットタイプの生活環境を提供する。居室、ベッド以外の休める空間(共有スペースにコーナー)を設置し、屋根のあるエントランス、散策も楽しめる外構、植栽なども整備する。

 あすなろの郷内に建設する県立施設の「セーフテイネット棟およびあすなろの郷病院(ばら寮含む)」と、民間事業者が整備する「生活訓練などを行う施設」の建設予定地は、現入所者の生活を維持しつつ建て替えを進めるため、いずれも現在の新棟周辺の低利用地を予定している。その際には、利用されていない一部の既存施設を必要に応じて解体することも検討する。

 本年度は24年度の県立施設開所に向けて、予定地周辺の測量や地質調査を実施しており、20年度以降には造成や基本設計の準備に着手する予定としている。あわせて現入所者のアセスメントを実施することで、入所者一人ひとりの障害の状況を確認し、適切な処遇が可能な入所施設について提案していく。

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