全事務所に試行拡大 情報共有システム 生産性向上やコロナ対策で(県検査指導課)

[2020/6/9 茨城版]
 県検査指導課は、19年度から情報共有システムの試行に着手している。これは、受発注者間で工事施工に関わる書類や写真、図面などを共有・交換するシステムで、当初は建設業の生産性向上に向けた取り組みとして試行を開始したが、新型コロナウイルス感染症対策としても脚光を浴びている。既に水戸土木事務所で試行を開始しており、20年度はすべての土木・工事事務所に拡大する考え。試行の結果を踏まえて21年度は効率的な運用に向けた条件整理を行い、22年度の本格導入を目指す。

 情報共有システムはICT(情報通信技術)を活用し、インターネット上のアプリケーションによって受発注者間の工事施工に関わる文書、写真、図面などの情報を電子的に共有・交換するためのシステム。インターネットを介して文書発議や決裁、打合せなどが可能であり、工事完成時にはシステムに書積された文書データから電子納品の成果を作成することも可能になる。

 このシステムを活用することで、書類提出や整理などの単純な作業時間を短縮し、受発注者間での対面打合せや現場管理に費やす時間の拡充を図るとともに、建設業の生産性向上や管理コストの縮減などを日的とする。

 国土交通省関東地方整備局では13年度以降、原則として全ての土木工事で活用しており、19年度の改正品確法の運用指針にも「情報共有システム等の活用の推進に努める」ことと位置付けられている。国土交通省の要件に対応するシステムを提供しているべンダーは、本年3月現在で11社ある。

 本県では、この3月に庁内ネットワークがLGWANからインターネット接続に移行している。これにより業務環境がインターネット主体に移行し、情報共有システムの利用が容易になったことから、20年1月に試行要領を策定し、土木部発注工事で試行を開始。インターネット経由でアプリケーションを提供するASP方式を導入した。

 19年度には水戸土木事務所で試行を開始し、庁内ネットワークが切り替わった後の3月以降空港関連道路整備推進室、道路整備第二課において受発注者協議により30件で試行工事に取り組んでいる。

 水戸土木事務所が利用するベンダーは主に2社で、どちらのシステムを使用するかは受注者との協議による。情報共有システム利用に係る経費(登録料および使用料)は、共通仮設費(技術管理費)の率計上分に含まれる。

 このシステムによって、発議書類作成機能や決裁書類のファイリング機能、検査準備・成果品作成機能はもちろん、スケジュール調整やメールの管理なども利用できる。例えば、小美玉市内で整備中の茨城空港アクセス道路では多くの工事が同時並行で進められており、現場が錯綜する中で掲示板機能が有効なツールとなっている。

 水戸土木事務所によると、システムを利用することで発注側の監督員や受注側の現場代理人ともに事務所と現場との移動が大幅に減少するほか、やり取りのメールの管理が容易となり、パソコンさえあればテレワークにも対応できるなど、受発注者ともに大幅な業務効率化が実現できているという。

 試行工事は完了後にすべてアンケートを取る予定で、20年度はそれをもとに試行の効果や課題を検証し、試行要領を改定するともに試行の範囲を全土木(工事)事務所に拡大する。各事務所でそれぞれ5件以上を目標に設定し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点からも積極的な活用を推進していく。

 21年度には、20年度に実施した試行の効果や課題を検証し、さらに試行要領を改定する。また、ベンダーの絞り込みについても20年度は様々な角度から検証し、21年度は絞り込みの必要性も判断する。これらの過程を経て、22年度からはすべての工事に全面展開していく予定となっている。

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