霞堤を4カ所整備 那珂川・久慈川河川整備計画 有識者会議に示す(関東地方整備局)

[2020/7/22 茨城版]
 国土交通省関東地方整備局は16日、常陸河川国道事務所の会議室で第4回那珂川・久慈川河川整備計画有識者会議(座長・横木裕宗茨城大学教授)を開催した。今回は、両河川の整備計画変更案の確認と直轄河川改修事業の再評価について議論し、変更案を承認するとともに河川改修事業の継続を決定した。この中で、霞堤を那珂川は栃木県那須烏山市内に整備し、久慈川は常陸大宮市と那珂市内に整備と保全することを明示したほか、那珂川は大場遊水地や下境遊水地の整備も盛り込んだ。当面7年間の総事業費は、那珂川を445億円、久慈川を145億円に設定している。

 有識者会議では、台風19号による両河川の被災状況を踏まえて、河川整備計画の見直しの議論を行っている。議事を前に、関東地方整備局河川部の佐藤寿延部長は近年国土交通省が打ち出した流域治水の概念に触れ、「流域治水は我々が整備計画で進めている多重防御治水と矛盾するものではない。あえて再定義するとすれば、ダム整備が難しい河川で人の住まいの歴史と地形をうまく使って治水に活かすものだと認識している。那珂川・久慈川整備は、流域治水のトップバッター的な存在だと思う」と述べ、横木座長も委員に忌憚のない意見を求めた。

 議事はまず、これまでに議論してきた河川整備計画の変更点を確認。河川事業の再評価では事業の投資効果や進捗事業、コスト縮減などを説明して、「災害の発生防止と軽減の目的から事業の必要性は変わっておらず、引き続き事業を継続することが妥当」とする原案を可決した。

 整備計画変更案のうち、那珂川では河道目標流量を野口地点で毎秒6100立方mに設定し、流量能力向上に向けて堤防の整備や河道掘削を実施していく。具体的な整備内容は、当面7年間で整備する箇所として大場遊水池の完成を目指すほか、栃木県那須烏山市下境地区での霞堤整備や中丸川水門整備を新たに盛り込んだ。

 下境地区の霞堤整備は今後、同地で遊水地整備に活用することを示唆し、また那珂川本川と西田川や藤井川の合流地点でも遊水地を整備していく計画。整備にあたっては、国と県で協議しながら進めていく見通しだという。事業費は、当面7年間で総事業費445億円、30年間では833億円になると想定している。

 久慈川の整備計画は、河道目標流量を山方地点で毎秒3400立方mに設定し、流下能力向上に向けては那珂川と同じく堤防整備と河道掘削を実施していく。具体的な整備内容は、7年間で霞堤を2カ所整備し1カ所保全するほか、防災ステーションの整備などを行う。

 霞堤の整備場所は、左岸1カ所(常陸大宮市小倉~辰ノ口)、右岸2カ所(那珂市額田東郷~額田北郷、常陸大宮市宇留野~岩崎)となる。常陸大宮市の左岸は既存施設の改修で、右岸の2カ所は新たに整備する。30年間の計画の中では、この3カ所に加えて里川の新根本橋周辺にある霞堤の改修も行う。事業費は7年間で145億円、30年間で244億円と想定している。

 これらの案に対し、有識者からは国と県管理河川の整備の統合性をはじめ、霞堤の整備方針、堤防決壊の理由と今後の対策、水害が発生した際の危険物質の管理方法、住民視点での避難活動啓発の周知、プロジェクト全体を理解してもらう方法の改善、プロジェクトが利水に及ぼす影響など、多方面から意見が寄せられた。

 会議の最後には、常陸河川国道事務所の原田昌直所長が「会議で頂いた意見は計画に反映していきたい。また、整備計画は作成して終わりではなく、事業の進捗をみながらその都度フォローアップしていくので、引き続き指導をお願いする」とあいさつした。

 また久慈川緊急治水対策河川事務所の石川武彦所長は、同事務所を4月に開所して事業を進めていることを説明し、「霞堤の整備はこれまで経験したことがなく、誰もが納得するものをつくるのは非常に重い仕事だと認識している。有識者の皆さまには今後も個別に相談しながら、プロジェクトを展開していきたい」と意気込みを述べた。

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