流域治水協議会を設置 年度内のプロジェクト策定へ(霞ヶ浦河川事務所)

[2020/8/21 茨城版]
 国土交通省霞ヶ浦河川事務所(須藤純一所長)はこのほど、同事務所で霞ヶ浦流域治水協議会の初会合を開き、本県や千葉県と流域16市町村の首長や関連組織の代表者らが参加した。今回協議した霞ヶ浦流域治水プロジェクトは、霞ヶ浦の特性を踏まえつつ従来の河川整備やソフト対策に加え、排水施設整備や土地利用規制など流域全体で対策を検討していくもの。今後は9月中にもプロジェクト案を公表し、年度内の策定を目指す。流域治水協議会の設置は、関東地方整備局管内で下館河川事務所、渡良瀬河川事務所に続き3カ所目となる。

 激甚化する水害を受けて近年、河川管理者が行う対策に加えて河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる治水対策「流域治水」への転換が提案されている。本年7月開催の国土交通省防災・減災対策本部では、総力戦で挑む防災・減災プロジェクトの主要施策のなかで、この流域治水への転換が明示された。

 これを踏まえて、全国の各一級水系に流域治水協議会を設置し、各河川ごとに流域全体で緊急的に実施すべき流域治水の全体像を「流域治水プロジェクト」として策定・公表し、流域治水を計画的に推進する。

 霞ヶ浦流域治水協議会は、霞ヶ浦河川事務所や県土木部河川課、千葉県県土整備部河川整備課、流域16市町村(土浦市、石岡市、龍ケ崎市、鹿嶋市、潮来市、稲敷市、かすみがうら市、神栖市、行方市、鉾田市、小美玉市、美浦村、阿見町、河内町、利根町、香取市)、水戸地方気象台、銚子地方気象台、水資源機構利根川下流総合管理所で構成する。当日は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、構成員の代表者らはリモートで会議に参加した。

 冒頭、事務局となる霞ヶ浦河川事務所の須藤所長が協議会設置の経緯とプロジェクトの概要を説明し、「流域の住民が安全・安心に暮らせるよう、皆さまと一緒に構築していきたい」などとあいさつした。その後の議事は流域治水プロジェクトの概要や霞ヶ浦流域治水協議会の実施事項、今後の進め方などを説明し、質疑応答を行った。

 霞ヶ浦は、流入している法河川が54河川と非常に多いが、治水容量が約3.4~3.6億トンと非常に大きく、氾濫しづらい湖となる。しかし、排水先は常陸川水門から利根川への排水のみであるため、線状降水帯のように継続時間の長い雨が続いた場合、利根川の水位も高くなると予想されることから、常陸川水門から排水できない事態も想定される。利根川に排水できず万が一破堤した場合、想定最大氾濫では浸水が1カ月程度継続する結果になるという。

 課題解決に向けて、協議会では河川対策とソフト対策、流域対策の3方面から対策を行う。このうち河川対策では、国管理河川と県管理河川で堤防整備や波浪対策、河川改修などを行う。国管理河川部分の事業費は、約275億円程度を試算している。また、ソフト対策は水位計や監視カメラの設置、マイ・タイムラインの作成などを関係機関と連携して実施していく。流域対策は下水道の排水施設・雨水貯留施設の整備や、土地利用規制・誘導などを盛り込んだ。

 この流域対策は今回から新たに実施するもので、協議会では全国で既に実施している流出抑制対策や土地利用・住まい方の工夫についての事例が紹介された。霞ヶ浦の場合は干拓で土地を広げた結果、低い土地が多いため、福祉施設の移転や避難場所の整備なども関係者らと協議していく。

 参加した首長からは、内水氾濫回避のための堤防整備や排水施設運用のほか、常陸川水門開閉といった情報の共有化について、協議会全体で取り組んでいく必要があるなどの意見がでた。

 今回の協議会設置について、須藤所長は「霞ヶ浦は出口が利根川1カ所しかなく、利根川本川の水位が上がると出口を失い、自分たちで排水しなければならなくなるが、それが出来ていないのが現状。この協議会ではなるべく被害を軽減するような施策について、県・市町村と一体となって進めていきたい」と、プロジェクトに取り組む意気込みを示した。

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