ヘルスロード創出へ 常陸大宮駅前通り 18日、19日に社会実験 推進協議会で実施内容を検討(県と常陸大宮市)

[2020/12/05 茨城版]
 県道路建設課と常陸大宮市は、国土交通省から本年度採択された「道路に関する新たな取り組みの現地実証実験」を、18日と19日の午前10時から午後3時までJR常陸大宮駅前(都市計画道路大宮停車場線と駅南側の市道)で実施する。この交通社会実験は、常陸大宮市のJR常陸大宮駅周辺整備と連携し、医療・介護従事者と協働して健康づくりをテーマとした道路空間の利活用を探るもの。この実験を前に、3日には常陸大宮市役所で「常陸大宮駅周辺ヘルスロード推進協議会」の第1回協議会を開催して、各構成員の意見を聴取した。実験終了後は結果を取りまとめて、21年2月にも開催する第2回委員会に報告する予定で、県土木部はこの結果を基に、大宮停車場線の整備にヘルスロード構想を本格的に導入できるかを見定めていく。

 国交省道路局は、社会的に影響を与える可能性のある道路施策の導入に先立ち、地域住民も参加して場所や期間を限定してその施策を試行・評価し、新たな施策の展開と円滑に事業を執行することを目的とする現地実証実験(社会実験)を実施している。20年度も9月に全国7地区を採択し、その1つに本県の「医療・介護従事者と協働する高機能ヘルスロード創出に向けた社会実験」が選ばれた。

 この実験は、人口減少・高齢化が進む常陸大宮市で高齢者やリハビリ患者、歩行補助車を必要とする人など多様な人々が共存する道路空間の創出に向け、医療・介護従事者と協働し、高齢者・リハビリ患者優先レーンの設置や歩行補助車の走行実験を行うもの。また、診察(受付)時間と電車やバス運行時間のミスマッチを高齢者・リハビリ患者優先レーンにおける歩行訓練やオープンカフェの利用など、歩行空間での滞在に充てることによるMaaS活用の可能性について実験する。社会実験や検討に要する費用は国が負担し、予算額900万円を用意する。

 社会実験の実施にあたり、県土木部は学識経験者や地元の医療機関、交通事業者、まちづくり団体、および関係行政機関の常陸大宮市や国交省常陸河川国道事務所、県警察本部と「常陸大宮駅周辺ヘルスロード推進協議会」を立ち上げ、3日に常陸大宮市役所で第1回の協議会を開催した。

 議事に先立ち、県土木部の伊藤高部長は「実験を通して効果が認められるものは全国展開されることから、ぜひ今回、全国に広がるものができればよいと思う」と話し、「医療機関と人々の周遊、そしてまちづくりがセットになった社会実験のコンセプトをうまく活かした実験になれば」と期待した。

 また、常陸大宮市の鈴木定幸市長は国の採択に尽力した関係者に謝意を表し「日本では道路は車が通るところとの固定観念があるが、社会実験を契機にこれをうち破って有効な活用方法を模索していきたい」と話して、ヘルスロード構想をさらに市内各所へと広げていく意向も示した。

 議事は常陸大宮駅周辺および都市計画道路大宮停車場線の整備と、社会実験の内容について事務局から説明し、各委員に意見を求めた。実験は大きく3つに分け、常陸大宮駅前通り(都市計画道大宮停車場線)の片側を通行止めにして、その片側の車線を「一般歩行者レーン」と「高齢者・リハビリ患者等優先レーン」に分けて歩行実験を行う。また、次世代型の電動車いすやシニアカーの乗車体験、およびキッチンカーでの買い物やテーブル・ベンチの設置による「歩きたくなるみち」づくりに向けた環境創出実験を行う。

 委員からは「キッチンカーの出店など人を集めるイベントも開催するので、どのような店が出店されるか周知してほしい」や「いろいろな人が来れるような取り組みを図ってほしい」といった意見が出ていた。当初は公共交通機関での来場を呼び掛ける方針だったが、来場しやすい環境を整えるため、常陸大宮市で別途、駐車場を用意することにした。

 議事終了後、協議会の会長を務める山田稔茨城大学理工学研究科教授は「市民や道路利用者が、このような魅力のある道路が将来あちこちにできたら良いというような感触をもって帰っていただけるかが今回のポイント」と話し、「市民が期待する道路や駅前空間となっていけば、行政もハード整備を進めやすくなる。そうしたものが社会実験を通して見えてくると効果的」と期待感を示した。

 なお、常陸大宮市が推進する常陸大宮駅周辺整備事業は、常陸大宮駅周辺の課題・問題点の改善と解消を図るため、「常陸大宮駅周辺整備計画」に基づきハード事業とソフト事業が一体となったまちづくりを進めるもの。ハード事業では、区域内の道路や都計道大宮停車場線、駅舎・自由通路、東口・西口広場、公園、交流拠点、下水道などの整備を位置づけ、第1期(19-25年度)、第2期(26-33年度)、第3期(34年度以降)に分けて進めていく。

 このうち都計道大宮停車場線は、駅の北東側に医療機関や福祉施設が集積していることから、それら施設の利用者の安全・円滑な移動に配慮した道路計画を検討する。4.5mの歩道幅員を確保し、歩行訓練や機能回復訓練にも活用できるような歩道を整備することで健康づくりを推進する。

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