教育支援活動の実態調査 学校との橋渡を強化(茨建協)

[2021/5/26 茨城版]

 県建設業協会(石津健光会長)はこのほど、「建設業による教育支援活動に関するアンケート調査結果」を公表した。調査結果によると、県内の学校で建設業関連の教育支援活動を「活用したことがある」と回答したのは約35%という結果になった。一方、アンケートに回答した協会員企業のうち、職場受入型の教育支援活動を「実施している」と回答したのは52%であった。今回のアンケートによって、教育支援活動の実施状況に加え、今後の課題も浮かび上がった。課題のひとつとして、学校と会員企業のニーズに沿った活動を支援することが求められていることが判明。茨建協は課題解決に向け、両者の橋渡し役として、マッチング機能を強化していく。その第一歩として、協会内に相談窓口を設置する予定だ。

 協会はこれまでに、建設フェスタや小・中学校での体験学習などを通して、建設業の魅力を発信してきた。また、若年者入職促進の一貫として、建設現場見学会や建設業インターンシップを行ってきた実績がある。

 協会は事業を継続するにあたり、建設業界と教育現場双方の実態とニーズを把握する必要があると考えてこのほど、アンケート調査を実施した。

 調査は県内学校と茨建協会員、他都道府県の建設業協会のそれぞれに調査を行った。実施期間は昨年10月6日から11月6日までの1カ月間とし、WEBと調査票で回答を受けた。

 このうち、県内学校では小学校と中学校、高等学校、一貫校、専門学校を対象にアンケートを行い、387校から回答があった。質問項目は、▽教育支援活動の活用状況▽教育支援活動の中で活用してみたい内容・テーマ▽企業・団体の教育支援活動全般への評価▽教育支援活動に対する意見・要望──などを盛り込んだ。

 質問項目のうち、建設業関連の企業・団体による教育支援活動の活用は、学校の35.4%が「活用したことがある」と回答した。内容は職場体験や見学などの職場受入型が83.2%と最も多く、次いで出前授業や社会人講師などの教育現場派遣型が58.4%、金銭や教材物品の寄付などの寄付型が33.7%となった。

 活用してみたい内容・テーマは、職場受入型で職業調べ・インタビューが59.8%と最も多く、建設現場見学会が52.8%、建設現場体験が35%を占めた。社会人講師・出前授業で取り上げてほしいテーマは、防災が68.2%と最も多く、次いで環境が59.9%、建設業のしごとが56.5%、まちづくりが54.3%となった。体験学習のプログラムについては、ものづくり体験(建設作業体験)が75.3%と最も多く、次にドローン操縦体験が61.9%、VR・AR体験が46.3%、建設機械(重機)操縦体験が44.2%となった。

 協会員へのアンケートでは86社から回答があった。職場受入型の取り組みは、52.3%が「実施している」と回答。「実施したことがない」が31.4%、「過去に実施していたが、現在はしていない」が16.3%となった。実施目的は、地域貢献活動が88.6%、採用活動の一環が84.1%、広報・PR・イメージアップが56.8%を占める。

 職場受入型の取り組みを実施しない理由については、「要請がない」が60.5%と最も多く、「人的な負担が大きい」が42.1%、「採用に直結しない」が18.4%となる。

 教育現場派遣型については、「実施している」が15.1%、「実施したことがない」が77.9%。寄付型が「実施している」が53.5%、「実施したことがない」が37.2%という結果になった。

 他都道府県の建設業協会では、38協会から回答を受けた。職場受入型は「実施している」が92.1%、「過去に実施していたが現在はしていない」が7.9%となった。教育現場支援型は「実施している」が81.6%、「実施したことがない」が18.4%となる。寄付型は「実施している」が70.3%、「実施したことがない」が27%、「過去に実施していたが、現在はしていない」が2.7%という結果になった。

 今回のアンケートを実施した結果、4つの課題が浮き彫りになった。1つ目は学校と会員企業のニーズに沿った活動の企画・運営が挙げられる。教育支援のメリットについて、学校側は将来の進路を考える機会の創出や、職業・労働に対する意識醸成などだと考え、会員企業は採用活動の一環だと考えている。そこで、協会には学校と会員企業それぞれのニーズに沿った教育支援活動の企画・運営が求められている。

 2つ目は会員企業に対する効果的なノウハウ提供が挙げられる。会員企業は支援活動の課題を、企画・運営のノウハウや教材不足だと回答。3つ目は学校と会員企業を結び付ける機能の強化となる。学校側は企業の活動内容などが不明であるといった情報不足に加え、調整に労力がかかることも問題点として提示した。また、会員側からは学校の紹介・あっせんの要望が出ている。

 4つ目は教育支援活動を実施する会員企業増加による受入体制の強化。学校側は効果的に活動するための課題として実施時間の確保を挙げる。企業側からは、人員不足やスケジュール確保の難しさに加え、学校側からの要請がないため5割弱の会員が教育支援活動を実施していない。

 こうした課題を解決するため、協会では学校と会員企業の橋渡し役としてマッチング機能を強化することを掲げた。協会が会員企業による教育支援活動の現状を把握したうえで、教育支援活動における学校側の窓口となり、学校からの依頼や実施調整を担う。あわせて、実施する会員企業を増やして、受入体制を強化し、活動の活性化を目指していく。

 この取り組みの実現には、学校側のニーズを知るための仕組づくりと、活動を受け入れるキャパシティーが必要になるため、現状ではすべての要望に応えるのは困難だという。そこで、課題解決の第一歩として、相談窓口を協会内に設置していく。

 このほか、「教育支援活動の支援ツールの充実」や「効果的な教育支援活動を継続させるためのPDCAサイクルの構築」なども施策の方向性として明示している。

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