築堤工事などが完了 鬼怒プロ 県内業者は97工事を担当(下館河川事務所)

[2021/6/8 茨城版]
 国土交通省下館河川事務所(工藤美紀男所長)は4日、築堤工事などの完了を受け、鬼怒川緊急対策プロジェクトの概成報告会を開催した。15年9月の関東・東北豪雨で堤防決壊などの大被害を受けた鬼怒川下流域に対し、16年1月にスタートしたこのプロジェクトでは、ハード・ソフトを一体化した緊急的治水対策を実施。今後は、流域治水プロジェクトやマイタイムラインなどにより、水防災意識社会の再構築を目指すとしている。

 鬼怒川緊急対策プロジェクトは、15年9月の関東・東北豪雨で大きな被害を受けた鬼怒川下流域を対象に、ハード・ソフトが一体となった緊急的な治水対策を実施するという全国初のプロジェクトとしてスタートした。ハード対策では鬼怒川や八間堀川などを対象に、堤防整備(かさ上げ・拡幅)や河道掘削などにより、緊急的・集中的に河川整備を進めてきた。これにより、再度の災害防止を図るとともに、施設の能力を上回る洪水などによる氾濫が発生することを前提に、社会全体でこれに備える「水防災意識社会」の再構築を目指した。

 事業主体は、関東地方整備局のほか、県や鬼怒川下流域に位置する結城市と下妻市、常総市、守谷市、筑西市、つくばみらい市、八千代町の7市町が参加。沿川では、1カ所の堤防決壊と7カ所の溢水などにより多くの家屋浸水被害などが発生したことから、地域一体となった対策を進めた。

 今回の報告会は当初、鬼怒川の施工現場で行われる予定だったが、生憎の天気となったため、事務所内で行われた。

 工藤所長は、関東・東北豪雨により発生した鬼怒川の甚大な被害を受けたプロジェクトの概成を報告した上で、「ハードでは堤防整備延長約66kmという膨大な事業を、5年間という短い時間で概成できたのは地域と企業のおかげ」と謝意を述べた。続けて、堤防でも防げない洪水に対し、マイタイムラインなどを確認することで、いざという時に逃げ遅れのないよう訴えた。今後は、流域治水プロジェクトや天端などを利用したサイクリングロードなども協力して進める意向を示し、関係者に対して理解と協力を求めた。

 このあと、プロジェクトの記録映像が放映され、青木孝夫副所長がプロジェクトの概成報告を行った。

 工事については、5月末までに堤防整備や河道掘削などの高さ対策が全て完了し、関東・東北豪雨クラスの豪雨でも安全に流すための堤防の高さや幅が確保された。用地の取得は120万平方mに上ったが、地元住民の認識も高く、協力に謝意を述べた。

 工事は堤防整備で約66km、河道掘削で約128万立方mを行い、これまでに169件(災害復旧21件、築堤等132件、河道掘削16件)の工事が完了した。現在も施工中の残工事11件(天端工や植生工など)を加えると全体で180件となり、建設業者69者が携わった。このうち、約54%に当たる97件の工事を県内業者が担当している。残工事11件についても、夏ごろには終えたい意向だ。

 工事に当たっては、ボリュームのある土量を上手く運べるかが課題だったが、川底の土だけでなく、周辺の公共工事による土をストックヤードを使いながら確保して効率化を図ったほか、堤外に工事用道路を整備することで、より早く土を運ぶ工夫も行ったという。また、盛土の締め固めや法面整形、出来形管理の自動化などにi-コンストラクションを活用したほか、16年度からは工事見学会を75回開催し、担い手育成も進めた。

 事業費は当初600億円程度としていたが、最終的には約780億円に上った。プロジェクト完了後は、田川との合流点整備など流域治水プロジェクトによる流域全体の堤防、河道整備を進めるほか、マイタイムラインの活用などソフト面にも力をいれていく考え。

 工藤所長は最後に、ハードが概成しても計画以上の洪水が来ることを予想し、「いざという時には安心することなく避難を」と呼びかけたほか、マイタイムラインの普及を進める決意を示した。

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