魅力ある建設業の実現 仙波土木部長にインタビュー 二級水系でも流域治水へ

[2021/6/30 茨城版]
 本年4月から県土木部長に就任した仙波義正氏に対し、抱負や意気込みを聞いた。仙波部長は「県総合計画に掲げた『災害に強い県土』と『活力を生むインフラと住み続けたくなるまち』の実現に向け、スピード感をもって取り組む」と意欲を示した。目標実現には地元建設業の力が必要不可欠だとし、業界発展に向けて担い手確保や働き方改革などの課題解決への支援を行い、魅力ある建設業の実現に協力していくと語った。また、3月に国が中心となって一級水系の流域治水プロジェクトを策定したことを踏まえ、県内の防災・減災対策を一層加速化するため、県が管理する二級水系でも流域治水プロジェクト策定に向け、県土木部が主体となって取り組む考えを示した。

-部長就任の抱負は

 災害関係の復旧・復興を引き続き推進するとともに、県総合計画の基本理念である「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現に向けた取り組みを進めていきたい。総合計画のうち、土木部では、特に「災害に強い県土」づくりと「活力を生むインフラと住み続けたくなるまち」づくりにスピード感をもって取り組むことが重要だと考えている。

 県では、近年の頻発化・激甚化する自然災害に対応するため、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき、国と歩調をあわせながら対策を推進し、県民の安全・安心の確保に努めていく。対策の推進には、地元建設業者の力が必要不可欠であり、業界の維持と発展が重要になってくると考えている。県としても建設業の健全な発展に向けて支援していきたい。

-建設業の課題について

 建設業の担い手の確保・育成では、女性の定着促進であったり、若者の入職を促進するような環境の整備などを進めて、魅力のある建設業の実現に向けて取り組んでいく。県では、担い手の確保・育成に対して、意欲をもって取り組みたいと考えている建設業者に対して支援を行い、業界の健全な発展に寄与してまいりたい。

 生産性向上に繋がるICT施工は、県独自のチャレンジI・II型といった取り組みを進めてきたこともあり、年々活用工事は拡大してきた。

 まずは建設業者や測量設計業者の皆さまにICT施工を知ってもらい、3次元データの取り扱いに慣れてもらうことが重要だと思う。県としては、引き続き、チャレンジI・II型等の発注を通して、業界の皆様に3次元データを取扱っていただくことで、業界の取り組みを支援していく。ICT施工が普及することは、働き方改革や生産性向上にも繋がっていく。さらなる普及拡大に向けて、業界と意見交換を行い、調整しながら進めていきたい。

 就労環境の改善では、業界の協力もあり、週休2日制の取り組みが進んでおり、昨年度には200件を超えた。

 また、快適トイレの整備など女性の定着促進といった観点でも進めている。これからも、国や他県での事例を参考にしながら、取り組んでいきたい。

-流域治水について

 国、県、市町村など流域のあらゆる関係者が協働し、ハード対策とソフト対策を一体的に進めていくことは、大変重要な取り組みだと認識している。県内にあるすべての一級水系については本年3月、国、県、市町村が連携し、流域治水プロジェクトを策定した。今後は、県が管理する二級水系についても、流域治水プロジェクトを策定していきたいと考えている。

 対象は十王川や花貫川など県北地域の河川で、本年度からプロジェクト策定に着手し、県が中心となり、市町村らで構成する協議会を設立する予定となっている。順調に行けば上半期中にも協議会を設立し、プロジェクトを進めていく。河道掘削をはじめとするハード対策と、ハザードマップの周知や水位計・河川監視カメラの整備といったソフト対策を組み合わせたプロジェクトを策定し、防災・減災対策の一層の加速化を図っていきたい。

-地元建設業者との連携について

 担い手確保や生産性向上、働き方改革などについて、業界でもさまざまな取り組みを実施していることは認識しており、県としても意見交換等を通して連携を強化していきたい。

 また、ICT施工や発注の平準化などについても、議論を交わしながら進めていきたい。

 自然災害への対応では、地域の守り手としての活躍を期待している。国と県、市町村、業界で確実な連絡体制を構築して、情報が共有できるようにしていくことが重要だと考えている。

 県と業界それぞれが自分の意見のみを主張しているだけでは問題は解決しない。互いに向いている方向は同じだと思っている。互いの意見を組み合わせ、協力・連携することで、「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現を目指していきたい。

   ◇   

 仙波義正(せんば よしまさ)1961年生まれの59歳。笠間市出身。日本大学工学部土木工学科卒。84年に入庁し、土木部企画監、道路建設課長、都市局長を経て4月から現職。趣味は美術鑑賞。特に備前焼など、灰かぶりにより自然の景色が生まれた作品が好み。時間があれば地元の県陶芸美術館などに赴き、審美眼を養っている。

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