港湾で災害対策 粘り強い構造の防波堤導入(県港湾課)

[2021/9/16 茨城版]
 県港湾課はこのほど、危機に強い土木施設などの整備と強化として、港湾施設の対策を取りまとめた。それによると、ハード対策では耐震強化岸壁整備や防波堤の「粘り強い構造」の導入など、ソフト対策では津波からの避難計画の策定や港湾BCPの策定などを盛り込んだ。このうち、粘り強い構造の防波堤については、これまでの考えとは異なる発想で整備を行うもので、本年度から新たに着手する。まずは茨城港日立港を対象に設計を進めていく予定だ。

 今回の港湾対策は8月末に開催した第5回変革期をリードする新時代の茨城づくり調査特別委員会の中で「災害に強い県土づくり、国土強靭化の推進」として、危機に強い土木施設などの整備と強化について取りまとめた中のひとつとなる。その中では、港湾対策に加えて、▽道路の対策▽河川・海岸の対策、土砂災害対策▽下水道の対策▽県営都市公園の対策▽建築物の対策──にも言及し、それぞれ現状と課題、今後の対応をまとめている。

 港湾対策の取り組みでは、ハード対策とソフト対策を明記。ハード対策の現状では、耐震強化岸壁整備と防波堤の粘り強い構造の導入を行った。

 耐震強化岸壁は、大規模な地震が発生した際、被災直後の緊急物資の海上輸送を確保するために、特定の港湾で通常の岸壁よりも耐震性を強化し、レベル2地震動に対応したものを指す。県内の耐震強化岸壁数は4カ所となり、内訳は茨城港日立港区1カ所、茨城港常陸那珂港区2カ所、鹿島港1カ所となる。

 粘り強い構造の防波堤とは、東日本大震災の教訓を活かして生まれたもの。想定を超える津波や波浪が防波堤に襲来した場合でも、破壊や倒壊までの時間を少しでも長くする。あるいは全壊に至る可能性を少しでも減らす構造上の工夫を行うことで、港内や背後地の減災を目的としている。

 粘り強い構造の堤防整備について、本県ではこれまで通常の港湾整備が完了していないため、未着手であった。昨年度までに港湾整備がある程度完了したことを受けて、本年度から整備に着手することになった。

 県内の港湾整備のうち、県が防波堤の整備を担当するのは、日立港区と大洗港区となる。そこで、日立港区の沖防波堤900mでの整備を進めている。現在は設計を進めている段階にあり、設計の進み具合ではブロック製作などの工事に入る可能性もあるという。粘り強いの対策は本県としては、初の導入となるため、工事の状況を踏まえながら、今後の方針を決定していく。

 ハード対策の課題としては近年、想定を超える大規模な地震・津波発生の切迫性が高まっていることを踏まえ、すべての重要港湾で粘り強い構造の早期整備が必要だと指摘。今後の対応では、港湾や背後地の状況から、緊急性が高く効果を最大化できる施設から効率的に整備していくと方向性を示した。

 ソフト対策の現状では、津波襲来時に就労者や港湾利用者などの速やかな避難が必要であるため、16年に各港で津波避難計画を策定。この計画に基づき、港湾ごとに既設民間施設の避難施設指定や津波避難タワーなどの整備を実施してきた。

 また、災害時の経済活動への影響を最小限とするため、17年に各港の港湾BCP(事業継続計画)を策定。19年には港湾BCPを改訂し、台風や低気圧などに伴う高潮・暴風に対する被害を軽減するための事前対策を位置付けた。

 ソフト対策の課題としては両計画ともに、港湾の整備状況や企業立地状況などに応じて適宜見直しが必要だと指摘した。今後の対応では、計画の見直しに加え、避難訓練の実施や津波襲来時のリスク軽減に向けた取り組みの検討、港湾BCPの更なる充実化などを盛り込んだ。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.