県主導で広域連携 水道ビジョン素案を公表(県水政課)

[2021/9/28 茨城版]
 県水政課はこのほど、県水道ビジョンの素案を公表した。この計画は水道施設の老朽化や浄水場などの耐震性不足、人口減少による水道事業の経営悪化などの状況を踏まえ、長期的かつ広域的視点から課題を整理し、安全で強靭な水道を持続させることを目的とする。それによると、現状の課題に対応するため、県が広域連携の主導となり、県全体の水道事業の最適化を図る「1県1水道」を掲げた。今後段階的に統廃合を行い、30年後を見据えた整備を進めていく。

 素案によると、本県の水道普及率は、18年度で94.7%となっていると説明。しかし、この数値は全国平均である98%に達しておらず、未だ約14.5万人が水道未普及の状況にある。地域別では、県北地域が98.8%と最も高く、鹿行地域が86.6%と最も低く、地域ごとに大きな差が生じている。

 鉛製給水管更新では、同管の残存率が4.9%で全国平均4.5%より高い状況にあると指摘。地域別では、県北0.7%、県中央10.9%、県南4.7%、鹿行と県西0%となる。今後の方策としては、水道事業者が鉛製給水管の更新を推進するほか、住民への広報活動などを実施する必要性を明記した。

 水道施設の耐震化では、浄水場の耐震化率は16.5%で、全国平均の30.6%を下回っている。また、企業局と市町村を比較すると、企業局は27.2%であるのに対し、市町村では8.7%と耐震化が進んでいない状況にある。

 取り組みの方向性としては、浄水場更新には多額の費用が必要となるため、耐震性のない小規模な浄水場は、耐震化にこだわることなく、統廃合による廃止を検討することが必要だと指摘した。統廃合の検討では、市町村域を超えた広域連携や県企業局との連携の可能性を示唆。なお、広域連携でも廃止できない浄水場については、ダウンサイジングの検討を行う必要性があるという。

 配水池については、耐震化率が40%で、全国平均の56.9%を下回っている。今後の取り組みとしては、1日最大給水量の12時間分の容量を確保できるよう、容量の拡大を図る必要性を示した。

 基幹管路の耐震管布設状況は42.3%で、全国平均の40.3%を上回っている。企業局と市町村を比較すると、企業局では59.3%であるのに対し、市町村では27.9%と耐震化が進んでいない状況にある。今後の取り組みとしては、管路の耐震化では、基幹管路に加え、基幹病院や避難所へ送水する重要給水施設配水管ルートを先行して耐震化することが必要だと明記。また、石綿管は特に耐震性が低いため、早期の耐震化が必要だと示している。

 耐震化計画のうち、管路耐震化計画は23事業体が策定済。圏域別では、鹿行が約80%と最も多く、県北が最小で約33%となる。浄水施設や配水池施設の耐震化計画は16事業体で策定している。圏域別では県中央が約46%と最も多く、県西が約25%で最少となった。

 県全体の現状・課題では、施設の老朽化を受けて更新需要は大幅に増加する見込みだと指摘。県内に合計127の浄水場を有しているが、これらの更新費は50年度までの30年間で、約3760億円が必要になると試算した。なお、この金額は市町村水道事業全体の総収益約5.8年分の費用にあたる。

 水道施設の最適化では、18年度の1日最大給水量実績は、県と市が保有する全浄水場能力の約7割程度に収まっている。人口減少により、大幅な水需要増加は見込めないため、浄水場を適正規模にダウンサイジングすることが必要になる。しかしその一方、浄水場の能力を過度に縮小すると、非常時への対応が脆弱となるため、一定程度の余力を考慮する必要性も指摘した。

 各課題を整理すると、各市町村が単独で事業を実施した場合、市町村の範囲を超えた検討・統廃合を行うことが困難であり、県全体としてみた場合、水道施設全体の最適化が図れないことが問題だと示した。また、各市町村間で運営基盤に格差があり、小規模な事業体ほど事業運営継続が困難になる可能性も危惧している。

 課題解決に向けて県は、広域連携を手段として、段階的な1県1水道を目標に掲げた。これは町村単独での対応には限界があることを指摘し、抜本的な対策として、県が主導して水道事業の最適化を図るもの。その際には現在の127浄水場を48浄水場まで統合する可能性を示した。

 広域化施設整備にあたっての基本的な方針は、▽今後の人口減少を踏まえ、既存ストックを最大限有効活用するなど水道事業の合理化およびコスト縮減に努め、合理化とコスト縮減に繋がらない施設整備は行わない▽統合先の浄水場は、スケールメリットを考慮し、市町村浄水場に比べ大規模である県の浄水場を基本として、県全体としての全体最適を図る▽地下水や小規模表流水など、取水が不安定である水源の浄水場から、ダムなどに参画した水源へ移行し、水道水の安定供給を強化する▽施設整備にあたっては、国庫補助金など有利な財源の確保に努める▽広域連携先については、水道事業に加え、工業用水事業をはじめとした他事業との連携も検討する──とした。

 今後は県の示した1県1水道について検討するため、段階的に検討準備会と広域的連携など推進協議会を設置する。協議会では、地域の意見を集約し、その合意結果をもって、水道基盤強化計画を策定し、実施計画とする流れだ。

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