掘削で容量増加を 渡良瀬遊水地 関係6市町が要望活動

[2021/10/12 茨城版]
 渡良瀬遊水地に隣接する古河市をはじめとする4市2町の首長は6日、埼玉県加須市の国土交通省利根川上流河川事務所大利根河川防災ステーションを訪れて、同事務所への要望活動を実施した。カスリーン台風の決潰口跡石碑の前で、栃木県の大川秀子栃木市長が安達孝実所長へ要望書を提出した。要望内容は▽渡良瀬遊水地の掘削による貯留容量の増加および洪水調節機能▽渡良瀬遊水地に流入する河川の積極的な高水敷掘削および河道の樹木伐採による流下能力の確保▽これら掘削土を活用した堤防の強化──の3項目。これに対し国は、以前から進めている遊水地の掘削などの事業を今後も進め、流域治水事業をさらに推進していくとしている。

 要望を前に、大川市長は「近年はいつどこで災害が起こるかわからない状況となっており、東日本台風でわれわれ6市町も大きな被害を受けている。今後も利根川上流河川事務所と周辺自治体が力を合わせることで、住民の安全・安心の確保や首都圏の水害防止へ、渡良瀬遊水地の治水機能向上につなげていきたい」とあいさつした。

 安達所長も「東日本台風では利根川、渡良瀬川、思川などの河川に大きな被害が発生し、渡良瀬遊水地もほぼ満水となった。国では全国各地で流域治水の事業を進めているが、地域の方々などに治水の大切さを知っていただくことが大切であり、今後も自治体と連携をして治水の大切さを伝えていきたい」と話した。

 今回、要望活動を行ったのは▽栃木県栃木市▽栃木県小山市▽栃木県野木町▽古河市▽群馬県板倉町▽埼玉県加須市──の6市町で、昨年に引き続き2回目の取り組みとなっている。

 19年の東日本台風では、渡良瀬遊水地の総貯留容量に迫るほどの豪雨に見舞われたという。今後、それ以上の規模の豪雨があった場合、周辺地域での大規模な浸水被害や、下流域の首都圏への影響が懸念されることから、6市町は周辺住民の安全・安心な生活基盤の確保や首都圏の水害防止のため、渡良瀬遊水地の治水機能の向上を要望している。6市町はこのあとも、新型コロナウイルス感染症の状況を見極めながら、国交省などへの要望活動も予定する。

 要望書を提出したあと、6市町と利根川上流河川事務所で意見交換を行った。国では樹木伐採などのほか、湿地再生を目的とした遊水地の掘削を以前から進めており、遊水地掘削によって貯水容量を増量させ、掘削土を築堤に活用する事業も行っているという。要望書提出や意見交換を受け、国は今後も遊水地掘削などの事業を進めていくほか、流域治水の事業もさらに推進していくとしている。

 要望書の内容は次の通り。

 【渡良瀬遊水地における治水事業の促進について】

 日頃より、渡良瀬遊水地の治水事業につきまして多大なるご尽力を賜り厚く御礼申し上げます。

 渡良瀬遊水地は、茨城県古河市、栃木県栃木市・小山市・野木町、群馬県板倉町、埼玉県加須市の4県4市2町に跨る、面積約3300ha、総貯留量約1億7000万立方mの治水・利水を目的とした日本最大の遊水地であります。

 この遊水地は、大雨などにより河川が増水した際には、水を一時的に溜め込み、利根川への流入水量を調整するなど、首都圏生活者の生命と財産を守る重要な役割を果たしております。

 近年、線状降水帯を形成した集中豪雨が頻繁に発生するなど、これまでに経験したことのない大雨により、全国各地で甚大な被害生じていることを勘案しますと、渡良瀬遊水地に接する4市2町といたしましては、周辺地域における浸水被害や、下流域にあたる首都圏への影響を大変危惧しています。

 つきましては、渡良瀬遊水地周辺住民の安全・安心な生活基盤の確保、さらには、首都圏の水災害に関する防災・減災の観点から、次の通り治水事業の促進を要望いたします。

 [1]渡良瀬遊水地の掘削による貯留容量の増加および洪水調節機能

 [2]渡良瀬遊水地に流入する河川の積極的な高水敷掘削および河道の樹木伐採による流下能力の確保

 [3]前記掘削土を活用した堤防の強化

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.