旅館跡に観光拠点 息栖整備計画の中間報告(神栖市)

[2021/11/6 茨城版]
 神栖市はこのほど、息栖神社周辺整備基本計画の中間報告を公表した。整備コンセプト案を「和を基調としたデザイン」に設定。同地区内にある空き家となった旅館「柏屋」を活用し、息栖神社の歴史や魅力を伝える観光拠点施設「(仮)柏屋」として整備する。このほか、イベントスペース「(仮)息栖河岸」や、船溜まり付近の景観整備、参道整備などを行う。市ではパブリックコメントを実施し、中間報告に対する意見を12月9日まで募集している。また、10月28日には観光拠点施設を除く、参道や船溜まり、駐車場の基本設計を一般競争・電子入札で公告した(公告の概要は29日付公告欄に掲載)。基本計画と基本設計のいずれも年度内に策定し、22年度から実施設計に着手する計画だ。

 この計画は昨年度に策定した「まちのにぎわいづくりプラン」に基づき、息栖神社の魅力を向上させ、市内外から多くの観光客が訪れる拠点として整備することで、定住人口と交流人口の拡大による地域の活性化が目的となる。なお、業務は東京建設コンサルタント茨城事業所(水戸市)が担当している。

 息栖神社は息栖2882に位置し、敷地面積は約3万6000平方mで、駐車場はバス4台、乗用車60台分を確保する。19年度の年間来訪者数は5万1630人となる。現状の課題として、▽参道などに立ち寄る場所がなく、滞在時間が非常に短いため、観光客のニーズに合ったサービスの提供が必要▽景観・街並み、歴史・文化を意識したもので、「何もない良さ」を尊重した整備であることが必要▽息栖神社のみならず、周辺市町村を含む周遊観光の拠点となる機能が必要──という3点を提示した。

 これを受けて整備の方向性では、参道エリアに市内観光情報や飲食・土産の提供、休憩などで気軽に利用できるフリースペースを設置する。施設整備については、▽息栖神社の歴史・文化に敬意を払う▽周辺の景観に配慮した施設を整備▽過度な装飾は行わず、騒音防止、渋滞回避、安全対策に努める▽周辺森林をいかし、自然とふれあえる施策を検討する──と定めた。

 周辺観光の拠点機能は、▽周辺市町村を含む観光情報の提供▽持続可能な観光振興が図れるよう、周辺市町村を含めた普及啓発▽大型バスなどが駐車しやすい駐車場の整備▽自転車を活用できる環境の整備▽市内周遊のための二次交通の整備──などを盛り込んだ。

 今回公表となった中間報告では、整備コンセプト案を「和を基調としたデザイン」に設定し、▽観光・文化の拠点「柏屋」の記憶の継承▽舟運の歴史を伝える水域と桟橋、灯籠▽息栖神社と一体感のある和のイメージ▽朝市開催スペースの確保などの賑わい空間▽河岸風景の復活と水郷風景の魅力化──を盛り込んだ。

 コンセプト案にある「柏屋」は息栖神社の前に位置していた旅館で、明治時代の文豪が訪れるなどで栄えた。しかし、その後空き家となり、19年に市が建物を取得した。

 今回の計画では、この旅館「柏屋」を解体し、跡地に拠点施設を整備する。その際には、旅館「柏屋」のイメージを継承するとともに、息栖地区の歴史や神栖市の魅力を伝えることを目標に掲げた。施設の規模は2階建てで、建築面積は250平方m程度。内部には展示スペースや物販・事務スペースのほか、2階部分に休憩室を配置。将来的にはカフェの営業を計画する。また、敷地内にはイベント広場や浄化槽、駐輪場なども設置する。

 船溜まり周辺には「(仮)息栖河岸」として、舞台風の休憩スペースとなるテラスや駐車場、イベントスペースなどを整備。息栖神社から船溜まりまでの参道は石畳風の舗装を行う。

 今回の中間報告の公表を受けて、10月28日には「3息栖神社周辺整備基本設計業務」を一般競争・電子入札で公告した。この基本設計では、息栖神社前の市道8-398号線と舟溜まり脇の市有地、駐車場などが対象。整備に必要な比較検討や関係機関との調整、基本設計図の作成、概算費用算出などを行う。予定価格は469万円に設定し、11月25日の開札を予定する。

 なお、観光拠点施設「柏屋」については、現在、同地で旅館「柏屋」の解体工事を実施しているため、今回公告となった基本設計の対象から除外となった。観光拠点施設の基本設計については、来年度にも別途発注する予定だ。

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