ICT導入を推進 日立建機日本と県が災害協定

[2021/12/2 茨城版]
 日立建機日本(榎本一雄取締役社長)は11月30日、県庁で県と「災害時における支援協力に関する協定」の調印式を開催した。協定締結により、災害時に建設機械を優先的に県へ提供することが可能となる。また、今回の協定では災害対応に加え、効率的な復旧作業の実現に向けたICT建機などの導入について協力して研究を進めることを明記。目標の実現に向けて、日立建機日本と県は、土浦工場やICTデモサイトなどで検証を実施していく。その際には、地元建設業者や測量業者なども加え、県内におけるICT施工の推進にも貢献していく考えだ。なお、ICT建機導入の共同研究を協定内容に盛り込んだのは、両者とも初の試みとなる。

 県では県建設業協会をはじめ、さまざまな業界団体と災害協定を締結してきた。しかし、これまでの協定では、建設機械の優先提供といった内容については、締結していなかったという。そうした中、日立建機日本から災害協定の申し出があり、このほど協定を締結することになった。

 調印式には榎本社長をはじめ、同社の氏家健明取締役総務部長、日立建機の古野義紀顧客ソリューション本部担当本部長、日立建機日本関東支社茨城支店の黒木幹雄支店長、同社の古来達郎レンタル課長、県側は小善真司副知事と県土木部の久家良和技術管理統括監兼検査指導課長らが出席。榎本社長と小善副知事が協定書に調印した。

 協定締結について、小善副知事は自然災害が激甚化・頻発化していることについて触れ、「県民の生命と財産を守る災害に強い県土づくりは、最優先で取り組まなければならない課題」と認識を示した。続けて、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を活用して、公共土木施設の長寿命化や流域治水などを進めていることを説明し、「これまで以上に安全・安心が求められる中で、日立建機日本との災害協定を締結できることは、大変心強い」と感謝の意を表した。

 また、建設業の担い手確保に向けて、県ではICT建機の導入や電子契約サービスの導入などを行っていることを紹介し、「こうしたデジタル化を踏まえ、災害時にも作業の効率化を図れるよう、ICT建機導入に向けた共同研究も協定項目に加えることになった。日立建機日本の皆さまの力添えのもと、建設業の担い手確保・育成についても推進していきたい」と意気込みを語った。

 これに対して、榎本社長は同社のマザー工場が土浦にあることを説明し、「マザー工場のある茨城県と災害協定を締結できたことは、大きな意味がある。当社は県内に8つの拠点を有しており、災害発生時にはすべての拠点で機械の提供ができるよう全力で取り組んでいく」と述べた。

 また、災害時のICT建機導入に向けた県との共同研究については、「大変意義のあるものであり、我々の責任は重大だと感じている。日立建機グループを挙げて研究に取り組むことを約束する」と語った。

 協定内容は主に、▽災害時において建設機械などを優先的に提供する。特に激甚災害時には無償提供も可能とする▽効率的な復旧作業の実現に向けたICT建設機械などの導入について協力して研究などを進める──の2項目となる。

 このうち、災害現場へのICT建機導入では、この目標実現に向けてまずは県内のICT建機の導入促進を図っていく。その際には、日立建機日本と県のほか、県建設業協会をはじめとする関連団体も加えて、どういった形でICT建機の導入・普及ができるのか、検討を進めていくという。

 県土木部の担当者によると、本県では16年度からICT施工を進めており、採用工事件数は徐々に増えているが、今後導入が頭打ちになる可能性があることを指摘。そこで、課題解決に向けて、中小規模の工事でもICT建機が活用できる方法について模索する必要があるという。今回の共同研究を通して、最終的には災害現場でICT建機が使えるようして、災害復旧の効率化を目指していく。

 日立建機日本としては、ひたちなか市内にあるICTデモサイトを活用し、協定内容を進めていく見通し。その際には、ICT建機に留まらず、同社のソフト面、例えば携帯を使用した簡易的な土量測量や、通信が途絶えた時の対応機器の活用なども念頭に入れているという。

 なお、日立建機日本は11月時点で国内の自治体などと95件の災害協定を締結しており、本県との協定は96番目となる。同社と災害協定を締結した県内の自治体は、神栖市と鹿嶋市、かすみがうら市、土浦市、龍ケ崎市、日立市、ひたちなか市の7市となっている。

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