キヤノンら4社認定 CNと本社移転の補助金制度(県立地推進課)

[2022/12/2 茨城版]
 県立地推進課はこのほど、県の補助金制度で4社の計画を認定したことを明らかにした。内訳は次世代産業集積・カーボンニュートラル強化プロジェクト事業補助金にキヤノン(東京都大田区)と昭和電工マテリアルズ(東京都千代田区)、本社機能移転強化促進補助金にトクヤマ(山口県周南市)とセネック(東京都新宿区)となる。このうち、キヤノンは阿見町での生産ライン増設に約20億円、昭和電工マテリアルズはひたちなか市での工場新設に約99億円、トクヤマはつくば市での研究所新設などに約10億円、セネックは境町への本社全面移転などに約2億6000万円を投じる。11月24日に東京都内で開催した「いばらき産業立地セミナーin東京」の中で認定式を執り行い、大井川和彦県知事から各社に認定証が手渡された。

 次世代産業集積・カーボンニュートラル強化プロジェクト事業補助金は、半導体や次世代自動車関連など、今後大きな成長が見込まれる最先端産業の生産拠点の誘致を加速化することを目的に新たに創設した。なお、今回の2社が初の補助金認定となる。

 補助金の活用内容をみると、電気機器の製造などを営むキヤノンは、阿見町にある同社阿見事業所内で、先端半導体製造に対応した半導体用露光装置の開発・製造および生産ラインの増設を行う。概算事業費は約20億円とし、補助見込額は約1億5000万円、雇用は将来雇用を含めて約350人を見込む。供用は本年度から順次稼働していく計画となる。

 今回の認定について、同社の武石洋明専務執行役員は「半導体用露光装置の生産能力増強などに向けた設備投資を検討していたところ、茨城県からのアプローチを受けて、事業実施を決定した。この事業におけるi線露光装置では全世界の約7割のシェアを占めており、最先端半導体分野で注目されている3次元化などにも対応した半導体用露光装置の開発・製造により、半導体のさらなる進化に貢献していきたい。あわせて、茨城県内での事業拡大による地域経済の発展にも貢献していく」とコメントした。

 電子材料や配線板材料などの製造販売を営む昭和電工マテリアルズは、ひたちなか市にある同社山崎事業所内で、新規に開発した先端半導体向け研磨材の生産工場を新設する。概算事業費は約99億円とし、補助見込額は4億9000万円、雇用は約150人を見込む。供用開始は24年3月を予定する。

 高橋秀仁代表取締役社長は「ひたちなか市の新工場で製造する新製品は、先端半導体製造プロセスにおいて必要不可欠な材料となる。研究開発のみならず、製造工場の新設を茨城県内で行うことは当社にとって大変意義深く、今回の事業拡大によりさらなる地域経済の発展に貢献していく」と話した。

 本社機能移転強化促進補助金は全国トップクラスの補助制度で、18年度に創設。これまでに22件の計画を認定しており、今回新たに2社を認定した。

 このうち、塩ビ・苛性ソーダや半導体用多結晶シリコンなどの製造販売を営むトクヤマは、つくば市内に研究開発業務拡大による研究所新設と新事業創出部門の一部移転を行う。概算事業費は約10億円とし、補助見込額は7000万円、雇用見込は約70人。供用開始は23年9月を予定する。

 岩崎史哲取締役は「つくば第二研究所は、当社が成長領域と位置付ける『環境』と『健康』分野の素材・材料の研究開発拠点と位置付けている。今般、新事業創出部門と一体となったことで、これまで以上に市場ニーズを反映した研究開発を進め、地域経済の発展に貢献していく」と述べた。

 情報通信業を営むセネックは、境町に全国5カ所ある事業拠点の再編および新宿本社の境町への全面移転を実施する。概算事業費は約2億6000万円とし、補助見込額は4000万円、雇用は約40人を見込む。供用開始は本年11月となる。

 和歌幸蔵取締役会長は、「本事業は境町が目指す自動運転バスの完全無人化の実現や、ドローンを活用した新スマート物流事業の構築に向けた実証の根幹をなす遠隔監視システムの構築・実装を本社が担うもの。今回の本社移転に伴い、茨城県内の事業拡大や茨城県を拠点とした全国展開も視野にいれ、さらなる地域経済の発展に貢献してきたい」と語った。

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