川内沢ダム 事業再評価 事業費95億円に増額 3年遅れ31年度着工(県行政評価委)

[2016/11/3 宮城版]
 県行政評価委員会の公共事業評価部会(部会長:橋本順子公認会計士事務所代表)が2日に県庁内で開かれ、村井嘉浩知事が諮問した「川内沢ダム建設事業」について事業の再評価を行った。現時点で事業費は24年度の再評価時より8%増の95億円に増えている。着工時期も当初より3年遅れの31年度にずれ込む見込みだ。

 川内沢ダムは名取川水系川内沢川の上流部となる名取市愛島笠島地区に新設するダム。26年度に実施計画調査段階から建設事業に移行した。27年度にダム形式を重力式コンクリートダム(堤体高36.7m、堤頂長145m)にすることを決定し、総貯水量は179万立方mを見込んでいる。

 24年度に事業の再評価を行った時は、事業費として80億円を見込んだ。その後、労務費や資材費の高騰、付け替え道路に架設する橋りょうの構造見直しなどにより、現時点では8%増の95億円に増額される見込み。事業費のうち、ダム工事費(仮設費など含む)は33億1000万円。測量・試験費などは19億7000万円。付け替え道路整備を含む補償工事費は25億5000万円。

 まだ実工事は行っておらず、今は調査、設計などを進めている段階。28年度までに事業費14億4000万円を投資し、進捗率は15.2%となっている。用地補償の手続きなどに時間を要し、事業計画は予定より遅れている。当初は32年度の事業完了を見込んだが、現時点での完了時期は5年遅れの37年度になる見込み。本年度に着工を予定していた付け替え道路などの補償工事は31年度に、ダム本体工事の着工は33年度になりそうだ。

 これまでの業務委託で、名取市道笠島川内線の付け替えに伴う概略設計業務を測地コンサルタントがまとめている。また、付け替え道路内に架設する橋りょうの予備設計業務を、復建エンジニヤリングと復建調査設計が担当している。仙台地方ダム総合事務所は、10日に付け替え道路の詳細設計業務と路線測量業務の一般競争入札を開札する予定。

 審議では付け替え道路のルート検討の過程などに、委員から質問が及んだ。県土木部河川課は次回(12月21日)の審議で、その過程などを示すことにした。それを経て同部会は答申案をまとめ、年明けに村井知事に答申する方針だ。

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