海老川上流で組合施行区整 測量踏まえ基本設計へ(千葉県船橋市)

[2017/3/8 千葉版]
 千葉県船橋市都市政策課が取り組んでいる海老川上流地区のまちづくりは、現在、概略事業計画の策定が進んでいる。福岡都市技術(本社・東京都中央区)に委託したまちづくり基本調査業務の中で検討しているもので、同業務については3月補正予算案で繰越明許費を設定した。概略事業計画の内容を今夏、地権者らに説明することとしており、同意が得られれば現地に入り測量に着手したい考え。測量成果を踏まえて29年度に、組合施行の土地区画整理事業について基本設計などを委託する予定だ。

 海老川上流地区まちづくりの対象とするのは東町195-1ほかの面積約78・5haで、地権者約420人。基本調査業務では、地区の現況を踏まえ、まちづくり基本構想を作成するほか、土地や建物の権利調査を進める。同構想の素案(%2別図参照%1)について、地権者を対象とした意向調査(アンケート)も実施した。

 これらの結果を踏まえ、▽基本条件(広域・自然・社会・経済・法制条件)▽事業スキーム(事業区域・工区設定・助成制度)▽事業スケジュール(長期スケジュール)▽土地利用計画図(新駅設置含む)▽概略事業計画(概略資金計画や減歩率)──などを盛り込んだ概略事業計画を策定する。当初の履行期限は29年3月31日まで。

 29年度予算案には、4755万7000円を計上。同地区のまちづくりについて、概略事業計画を策定することで、土地区画整理事業の区域を確定させて、地権者らの同意が得られた場合には、測量を進める。

 このほか29年度予算案には、海老川上流地区事業計画(素案)策定及び仮同意取得支援業務委託料に、限度額1億5444万8000円の債務負担行為(期間:29~30年度)を設定。測量成果を踏まえて発注する同業務の中で、基本設計のほか概略換地設計、補償関係調査などを行う予定。

 海老川上流地区は、市の中央部、中心市街地の近くに位置。地区内には平成8年に開通した東葉高速線が東西に走り、海老川が南北に流れる自然環境の豊かな地区(市街化調整区域)でもある。昭和30年代に農業環境整備を目的に土地改良事業が実施されたが、現在は休耕地が目立ち、資材置き場や作業場も点在しているほか、幹線道路沿いには沿道サービス施設が立地しており、一部では小規模な宅地開発(戸建て住宅)、墓地の造成が行われている。また、地区の中央部に東葉高速線の新駅の構想がある。

 地区の権利者は、海老川の水辺空間や周辺の緑との調和など自然環境に十分配慮した地域づくりを行うため、組合施行の土地区画整理事業の実施に向け、土地区画整理組合設立準備委員会を平成8年度に設立。9年度には準備委員会で、業務代行予定者として大成建設グループの有楽土地を決定。16年度には事業計画案の全体説明会を開催し、業務代行予定者が提示した事業計画(案)に基づき仮同意の取得に入ったが、21年度に開催された準備委員会で、業務代行予定者が撤退を正式に表明した。

 その後は、23年度の準備委員会で事業協力者として清水建設・福岡都市技術グループを決定。同グループが海老川上流地区土地区画整理事業基本構想(案)を24年度に提示したが、準備委員会の承認は得らなかった。27年度に同地区に市立医療センターを移設し「メディカルタウン」のようなまちづくりを進めることを表明した松戸徹市長は、事業実施に向けて組合設立準備委員会会長などと28年度に意見を交換。このほど開かれた住民説明会では、概略事業計画の進ちょく状況が説明された。

 同市ではまちづくりの実現のため▽土地区画整理組合を協力に支援▽市立医療センターの移設と用地の取得▽新駅誘致について整備費の負担を検討▽助成制度基づく土地区画整理事業への助成▽民間施設の誘致活動を支援──の取り組みを予定しており、現時点では次のような目標スケジュールを掲げている。
 ▽30年度を目標に構想を具体化、地権者合意形成
 ▽32年度を目標に都市計画決定、事業認可(区画整理)
 ▽33年度を目標に市立医療センター着工
 ▽38年度を目標に新駅の誘致

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