架橋本体を9月公告へ 女川出島線の新設着工 ピーエス三菱JVが安全祈願(女川町と県)

[2017/3/23 宮城版]

女川出島線の模型

女川出島線の模型

 県は、牡鹿郡女川町の本土と離島の出島を結ぶ女川出島線の整備で、海上部分に架ける出島架橋の詳細設計・工事を一括し、総合評価方式(高度II型)の一般競争入札で発注する。入札公告は9月ごろを予定。出島架橋を除く同線の道路新設工事は町が発注する。22日には、第1期の道路新設工事が着工し、施工者のピーエス三菱(東北支店・仙台市青葉区)・佐藤工業(女川町)JVが安全祈願祭、町が着工式を開催した。

 女川出島線は、社会資本整備総合交付金を活用し、町道として整備する。全体延長は2920m。道路幅員は7m。起点は尾浦地区の国道398号で、終点が出島の県道出島線。事業期間は27~34年度の8年間。総事業費は93億円を試算している。

 海上部分に架ける出島架橋は、橋長が360mで、気仙沼大島大橋と同じ中路式鋼アーチ橋を計画している。下部は橋台と橋脚を2基ずつ設ける。本体架設は、町からの委託を受け県が設計・工事を発注する。

 県は同橋の基本設計を大日本コンサルタント(東北支店・仙台市青葉区)に委託し、とりまとめ作業を進めている。詳細設計・工事は9月をめどに入札公告し、半年ほどかけて請負事業者を選定する。

 高度II型の総合評価は、27年度に気仙沼魚市場付近に設けるフラップゲート付き防潮堤の工事を発注する際に採用したことがある。事業者提案の中から最良の案で積算し、設計書に反映させて予定価格を定め、全ての提案者を対象に入札してもらうやり方だ。

須田町長(中央)らが鍬入れした

須田町長(中央)らが鍬入れした

 町は起点から延長891m区間の道路新設工事を第1期工事としてピーエス三菱JVに発注した。この区間は5万8240立方mの掘削工や10万2300立方mの盛土工などのほか、橋長86mの1号橋の下部工や、延長131mのトンネル工(ナトム)が含まれる。工期は31年3月29日まで。

 第二期の道路工事は、トンネルから出島架橋の手前までに至る区間で、2~4号橋の下部工が含まれる。町は29年度の第3~4四半期にかけて、第二期工事を一括発注するほか、出島側の道路工事と、1号橋の上部工を別途発注する考え。30年度以降は2~4号橋の上部工を発注する。

 22日の安全祈願祭と起工式には、須田善明町長や、県の遠藤信哉土木部長、木村公雄町議会議長、衆議院の安住淳議員、工事関係者など約90人が出席した。着工式では須田町長ら13人が一斉に鍬入れした。

 須田町長は、数十年前から出島架橋実現の要望活動を続け、ようやく着工まで至ったことに思いをはせ、「いまスタートラインに立たせていただいた」と熱く宣言。出島海域が町の水産生産額の「ほぼ半分を稼ぎだしている。町の経済においても非常に重要な地域と」と紹介し、島民・漁民の暮らしを支える架橋の必要性を訴えた。

ピーエス三菱の森島東北支店長

ピーエス三菱の森島東北支店長

 遠藤土木部長は、村井嘉浩知事の祝辞を代読し、女川出島線の整備により、「島民の利便性向上はもとより、安全安心な生活道路が確保される。さらに豊かな漁業資源の活用や観光産業の振興により、地域経済に大きな波及効果をもたらす」と述べ、「架橋本体は県が受託し、責任を持って取り組む」と約束した。

 施工者を代表し、ピーエス三菱東北支店の森島修支店長は「地元の佐藤工業とがっちりタッグを組んで安全最優先で工事を進める」と決意表明した。

■現場代理人を務めるピーエス三菱の沼田芳宏氏の話。

 工種が多く施工管理が煩雑なため、そこを注意して工事を進める。尾浦側から片押し施工で進めるため、工程調整が大変だが、安全に十分注意して施工をやり遂げる

■佐藤工業の佐藤昭宏専務取締役の話

 工期を守り無災害で完工したい。次の工事に支障のないように進めたい。

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