旧岩崎農場別邸の公園整備 文化財保存協会で設計(千葉県富里市)

[2017/9/6 千葉版]
 千葉県富里市教育委員会生涯学習課は5日、七栄地先にある旧岩崎久彌末廣農場別邸の公園整備に向けた実施設計業務を委託するため公募型プロポーザルで、文化財保存計画協会(東京都千代田区)を委託先候補に選定したと発表した。1日に開いた選定委員会の結果を受けてのもので、応募は同者のみだったという。履行期限は30年3月30日、予算の上限額には1800万円(税抜き)をそれぞれ設定していた。

 技術提案では▽全体の整備費用削減に貢献する技術提案▽敷地内樹木の永続的保存システムと長期的かつ段階的な管理イメージ▽業務スケジュール▽その他仕様書に記載されていない独自の提案(ある場合のみ)──を求め、審査では▽業務経歴▽文化財関連の実施設計等の業務経歴▽実施体制及び人員体制▽総括責任者及び担当者(技術者)の知識・経験▽業務理解力・整合性▽歴史的背景の認識▽実現性・創意工夫▽プレゼンテーション能力・コミュニケーション能力▽技術者評価・業務への取組み姿勢等▽見積価格──で評価した。

 対象となる敷地は七栄650番地の4万2156平方m。旧岩崎家末廣別邸における登録有形文化財と附属建物の設計を除く、庭園(敷地)部分で、名勝指定を前提とした詳細な復元検討を実施し、文化財保存を目的とした整備と、これに伴う土木造園や電気、給排水、工作物などに関する実施設計を委託する。

 業務では、敷地全体の整備の実施設計図書とは別に、次年度に実施予定の樹木伐採工事分の実施設計図書をまとめるほか、詳細な庭園復元調査として、裏門の部材調査やツツジ品種同定調査、主庭微地形測量を行い、岩崎久彌氏の設計意図を明確にすることなども求める。

 同教委では別邸の公園整備とともに、末廣農場跡地(隣接地)などを活用し、賑わい拠点とするための基本構想を三菱総合研究所(東京都千代田区)に委託して策定。民間事業者の参入を想定して29年度は同構想を踏まえた基本計画の策定に並行し、民間の参画意向を確認。30年度に募集・選定した上で、31年度の整備着手を目指す。

 同構想では賑わい拠点の機能として隣接地に▽観光・情報の拠点機能▽歴史・文化のガイダンス機能▽集客(飲食・物販)機能──を整備するべきとしている。

 このうち「観光・情報の拠点機能」では、周辺の観光地などを案内する機能のほか、拠点にできる十分な駐車スペースを設け、バス路線の拠点ともなるべく、交通ターミナルや駐車場、観光案内施設、簡易な物販施設の設置を例に挙げた。

 「歴史・文化のガイダンス機能」ではまた、旧三菱財閥の第三代総帥である岩崎久彌氏が晩年を過ごした、国登録有形文化財の旧岩崎家末廣別邸の成り立ちを生かし、同邸や庭園に調和した景観で、歴史・文化の展示スペースの設置を計画するとしている。

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