地価、5年連続上昇 全用途1.7%増 東八番丁は全国6位(県など)

[2017/9/20 宮城版]
 県と国土交通省は19日、29年度の地価調査(基準地価)の結果を公表した。本県の全用途の平均変動率は28年度比で1.7%上昇し、25年度から5年連続の上昇となった。全国的に全用途の平均変動率が下落し、下げ幅が縮小する中、本県は28年度より上げ幅が3ポイント増加した。住宅地では地下鉄東西線沿線の地価上昇が続くとともに、交通ネットワークの形成で南北線沿線の地価も上がりだした。

 今回の調査は7月1日時点の地価の変動を地域別に調べたもので、基準地は28年度と同じ35市町村の計405地点(住宅地267地点、宅地見込地2地点、商業地100地点、工業地16地点、林地20地点)。405地点のうち、継続は400地点。住宅地3地点と商業地2地点は選定替えとなった。

 住宅地で継続地点となった264地点のうち、上昇したのは104地点。34地点は横ばいだった(下落は126地点)。商業地で継続地点となった98地点のうち、上昇したのは64地点。9地点は横ばいだった(下落は25地点)。

 住宅地、商業地とも仙台市と仙台市周辺市町村(塩竈市、名取市、多賀城市、岩沼市、富谷市、七ケ浜町、利府町、大和町、大衡村)は上昇が続き、それ以外の市町は下落が続いている。

 県全体の平均変動率は、全用途で1.7%上昇。28年度は1.4%の上昇だったため、上げ幅は3ポイント増加した。1平方mあたりの平均価格は7万7100円で、28年度より5600円高くなった。

 地域別の調査結果を見ると、仙台市の全用途の平均変動率は県内で最も高い6.8%の上昇(28年度比0.9ポイント増)。1平方mあたりの平均価格は21万5000円(同1万9700円高)だった。

 仙台市の住宅地では、28年度より上昇率が上がった県内のトップテンに、若林区が5地点、太白区が1地点入った。東西線や南北線沿線となる地点だ。このうち、五橋駅に近い「若林区東八番丁197-2」は、平均変動率が11.3%上昇(同3.4ポイント増)し、全国6位の上昇率となった。1平方mあたりの平均価格は16万7000円(同1万7000円高)。「泉区紫山1-21-6」は平均変動率10.6%上昇(同1.5ポイント増)で全国9位。28年度に県内で最も上昇した住宅地「若林区裏柴田町29-5ほか」は、平均変動率10.5%上昇(同1.2ポイント減)で全国10位(県内3位)に入った。

 仙台市以外では、昨年10月に市制施行した富谷市の地価が顕著に上昇している。全用途の平均変動率は5%上昇(同0.5ポイント増)で、仙台市に次ぐ上昇率。1平方mあたりの平均価格は3万5500円(同1800円高)となった。同市では商業地の平均変動率が4.7%上昇し、28年度より1.5ポイント増加した。

 岩沼市は全用途の平均変動率が3.3%上昇(同0.8ポイント増)し、1平方mあたりの平均価格が3万4600円(同1200円高)となった。上昇率を高めた要因は、工業地の地価が7.1%上昇したこと(同2.1ポイント増)。住宅地も2.8%上昇と、28年度より0.9ポイント増加した。

 大和町も全用途の平均変動率が3%上昇(同2.4ポイント増)。1平方mあたりの平均価格が3万2700円(同1000円高)となった。

 一方、震災後の住宅再建で地価上昇が全国的にも高かった石巻市は、全用途で0.1%下落(同0.5ポイント減)となった。1平方mあたりの平均価格は2万8500円(同100円高)。商業地は微増したものの、住宅地は0.3%下落(0.7ポイント減)した。

商業地、平均4%上昇 富谷、利府の上昇顕著

 地価調査の結果を用途別で見ると、商業地の平均変動率は28年度比で4%上昇(0.6ポイント増)した。1平方mの平均価格は19万4900円(1万8500円高)。

 市町村別の上昇率上位は、1位が仙台市の8.7%上昇(1.1ポイント増)で、1平方mの平均価格は38万2900円(3万9700円高)。2位は富谷市の4.7%上昇(1.5ポイント増)で、1平方m価格は4万9300円(2300円高)。3位は利府町の3.3%上昇(1.3ポイント増)で、1平方m価格は5万0100円(1600円高)となった。

 商業地で最も上昇したのは、ロッテリア仙台駅東口店がある「宮城野区榴岡1-2-1」。平均変動率は18.3%上昇(0.4ポイント増)した。1平方mの価格は136万円(21万円増)。次いで、東横イン仙台がある「宮城野区榴岡3-4-31」は16.1%の上昇(0.9ポイント増)。1平方mの価格は36万円(同5万円増)。仙台駅周辺以外では、青葉区上杉や木町通の地価が上がっている。

 商業地で地価が最も高かったのは、仙台東宝ビルがある仙台駅西口の「青葉区中央2-1-1」。1平方mの価格は300万円(30万円増)で、35年連続の1位。平均変動率で11.1%上昇となったが、28年度より伸び率が1.4ポイント減少した。

 住宅地の平均変動率は、県全体で0.8%上昇(0.2ポイント増)。1平方mの価格は3万7000円(1200円高)だった。

 仙台市が最も上昇し、平均変動率は5.2%上昇(0.7ポイント増)。1平方mの価格は9万1400円(4700円高)だった。次いで名取市が4.7%上昇(0.5ポイント増)し、1平方mの価格は5万3100円(2600円増)。3位は富谷市の4.3%上昇(1.1ポイント増)。1平方mの価格は3万0800円(1400円高)だった。

 最も高い住宅地は、仙台上杉四郵便局の南側となる「青葉区上杉4-5-39」。1平方mの価格は26万円(1万8000円高)で、33年連続の1位。平均変動率は7.4%上昇(2.1ポイント減)した。

 工業地の平均変動率は県全体で2%上昇(0.1ポイント増)。1平方mの価格は1万8600円(700円高)。「宮城野区扇町3-4-37」は11.6%上昇し、工業地では全国3位の上昇率となった。1平方mの価格は4万8000円(同5000円高)。

■29年度地価調査 市町村別の平均変動率と平均価格(単位:円)

地  区 全  用  途 住 宅 地 商 業 地 工 業 地
率(%) 1平方m単価 率(%) 1平方m単価 率(%) 1平方m単価 率(%) 1平方m単価
県全体 1.7 77100 0.8 37000 4.0 194900 2.0 18600
仙台市 6.8 215000 5.2 91400 8.7 382900 8.5 58000
石巻市 ▲0.1 28500 ▲0.3 25000 0.8 51900 0.0 13500
塩竈市 0.1 37300 0.1 38900 0.0 39900 0.0 22500
気仙沼市 ▲1.1 23800 ▲1.4 18000 ▲0.9 49100 2.2 18200
白石市 ▲1.7 17400 ▲1.6 17400 ▲2.8 20900 0.0 10300
名取市 4.1 56400 4.7 53100 2.7 64100 ―― ―――
角田市 ▲1.2 17000 ▲1.3 15000 ▲1.0 21100 ―― ―――
多賀城市 0.5 53800 0.6 58000 0.3 59500 ―― ―――
岩沼市 3.3 34600 2.8 37100 2.6 37800 7.1 18000
登米市 ▲0.7 12300 ▲0.9 10700 ▲0.1 20400 ―― ―――
栗原市 ▲1.8 11200 ▲2.1 9800 ▲0.9 19000 ▲1.1 4600
東松島市 ▲0.3 30900 ▲0.5 29200 0.2 36100 ―― ―――
大崎市 ▲1.0 19900 ▲1.0 18800 ▲2.1 28100 ▲1.0 19500
富谷市 5.0 35500 4.3 30800 4.7 49300 8.2 26500
蔵王町 ▲2.9 14300 ▲3.2 12900 ▲2.3 17100 ―― ―――
七ケ宿町 ▲3.3 4400 ▲3.3 4400 ―― ――― ―― ―――
大河原町 2.5 28500 2.0 30700 3.0 41000 3.4 9100
村田町 ▲1.2 11800 ▲1.6 11000 ▲1.1 17400 0.0 8500
柴田町 1.6 29900 2.1 30600 0.0 28000 ―― ―――
川崎町 ▲1.5 12700 ▲1.5 12700 ―― ――― ―― ―――
丸森町 ▲2.1 12200 ▲1.9 10400 ▲2.5 15800 ―― ―――
亘理町 ▲1.0 24000 ▲0.9 23800 ▲1.2 24500 ―― ―――
山元町 ▲1.6 11900 ▲1.6 11900 ―― ――― ―― ―――
松島町 ▲0.7 24000 ▲0.4 22000 ▲1.6 30000 ―― ―――
七ケ浜町 0.0 35100 0.0 35100 ―― ――― ―― ―――
利府町 1.5 51100 0.6 51600 3.3 50100 ―― ―――
大和町 3.0 32700 3.2 32800 1.6 32500 ―― ―――
大郷町 ▲0.8 6400 ▲0.7 6900 ―― ――― ▲0.8 6000
大衡村 ▲1.8 10500 ▲1.8 10500 ―― ――― ―― ―――
色麻町 ▲0.9 9200 ▲0.9 9200 ―― ――― ―― ―――
加美町 ▲1.3 11600 ▲1.2 10900 ▲1.8 21600 ▲1.5 6600
涌谷町 ▲0.7 13600 ▲0.7 14900 ▲0.6 17800 ▲0.9 5500
美里町 ▲1.5 12500 ▲1.5 12500 ―― ――― ―― ―――
女川町 0.0 24400 0.0 22000 ―― 29200 ―― ―――
南三陸町 ▲1.1 11300 ▲0.9 10600 ▲2.5 15800 ―― ―――

※女川町の商業地は28年度と調査地点が変わったため、変動率の表記なし

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