美術館リニューアル会議 本館東側に増築棟建設 骨子案示す(県)

[2017/10/18 宮城版]
 県美術館(仙台市青葉区川内元支倉34-1)の改築に関し、県は17日、2回目の「県美術館リニューアル基本方針策定検討会議」(座長:西村晃一県教育庁理事兼教育次長)を県庁内で開いた。県は本年度末までに美術館のリニューアルに関する基本方針をまとめることにしており、その骨子案を提示した。本館の東側に増築棟を建てるなどし、県民ニーズに即したリニューアルを図る。現時点では32年度に設計業務に着手する予定だ。

 基本方針策定検討会議には学識経験者らの委員をはじめ、県教育庁の担当者ら約30人が出席した。県はことし3月にリニューアル基本構想を策定しており、それをもとに老朽化対策や現代化への対応、手狭になった展示スペースなどの拡充策を盛り込んだ骨子案を説明した。基本的にリニューアルは、既存施設の改修と増築によって行う。

 昭和56年11月に完成した県美術館は、間もなく開館から36年を迎える。施設が老朽化し、美術品が増えたことで展示スペースなどが手狭になった。バリアフリー化や外国人利用者への対応も遅れ、時代のニーズに合わなくなっている。

 建物の規模は、本館がRC造(一部S造)地下1階地上2階建て延べ1万2130平方m。施工は当時、間組(現安藤ハザマ)・三井建設(現三井住友建設)・橋本店JVが担当した。別館として、本県出身の彫刻家・佐藤忠良氏の作品を展示する佐藤忠良記念館(RC造地下1階地上1階建て・延べ2990平方m)が併設されている。

 現在、基本方針策定に関する調査検討業務を請け負った大宇根(おおうね)建築設計事務所(東京都町田市)が、施設の劣化調査と診断、改修手法などをまとめている。

 県美術館の地下には仙台西道路が通っているため、増築棟を建てる位置などに制限がある。この日示された骨子案では、第2駐車場やテニスコートなどがある本館東側の敷地約6000平方mを活用し、増築棟を建設するとしている。建物の規模などはまだ具体化していないが、渡り廊下でつなげるのではなく、できる限り本館と直接つながるような位置に建物を建設し、既存施設との回遊性を持たせる考え。増築棟には、本館の1階にある講堂と地下1階にある県民ギャラリーを移設する。

 県はリニューアルに際し、子供の豊かな感性を育む「キッズスタジオ」を設ける意向。講堂の移設跡地に、子供たちが美術品に触れ合えるスペースなどを整備する。

 現在、4室で約2260平方mある展示スペースは、本館1階部分を中心に改修し、さらに500平方m程度のスペースを確保する。収蔵庫については地下1階部分を改修し、現在の約840平方mからさらに700平方m程度を追加する。

 このほか、エレベーターを増設するなどし、バリアフリーに対応していく方針。授乳室やスタッフ控室なども新たに設ける。

 県は本年度内にあと2回、検討会議を開き、リニューアル基本方針を策定する。リニューアル事業は大規模事業評価の対象となるため、県行政評価委員会に諮り、30、31年度で事業手法などを検討していく。

 その後、32、33年度の2カ年で基本設計と実施設計をまとめる。それを経て、34、35年度で改修工事を行う。36年度中のリニューアルオープンを目指す。
20171018sen

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