アンケート調査 週休2日、険しい道程 女性技術者採用にも障壁(千葉県建設業協会)

[2017/11/1 千葉版]
 千葉県建設業協会(畔蒜毅会長)は、会員企業に対する「完全週休2日制」と「女性技術者の採用」に関する会員企業へのアンケート調査の回答状況を明らかにした。技術者の休暇の取得状況について、完全週休2日としている企業は全体の9.3%と、選択肢の中で最も低い順位に留まったほか、女性技術者の採用についても「求職者自体がいない」が50.8%と半数を超え、国や県などの旗振りとは裏腹に、地域建設業界の実情が浮き彫りとなる結果となった。

 技術者の休暇の取得状況については「隔週週休2日」が最も多い30.1%を占め、次いで変形労働時間制など「その他」(閑散期は週休2日、現場状況による等)が27.5%、「日曜(週1日の休暇).祝日のみ」が21.8%と続いた。

 このうち、完全週休2日制を採用していない90.7%の企業に対し、週休2日にならない理由について(複数回答)の質問には「工期に間に合わないから」が64.0%と最も多く「提出書類が多く現場が休業でも休めない」49.7%、「現場技術者の交代要員がいない」46.3%と、業務が常に繁忙状態であることが理由として挙がった。

 下請の技能労働者(職人)の休暇状況についても(複数回答)「日曜(週1回).祝日」が33.2%と最多で、週休2日とならない理由について「工期に間に合わない」(62.2%)に次ぎ、「日給の場合給与が下がるので休みたがらない」が57.8%と半数を超えている。

 県土整備部が、土木事務所で年間2件以上、他の出先事務所でも年間1件以上の発注工事で実施している完全週休2日制モデル工事を試行していることについては、今後その定着に必要な条件(複数回答)として「年間を通じた工事発注の平準化」が74.6%と1位となり、続いて「適正な工期の設定」が74.1%、「提出書類の簡素化」69.4%、「労務単価の大幅アップ」68.4%などと指摘されている。

 女性技術者.技能者の在職人数についての問いに対しては、女性技術者については「0人」が72.0%、女性技能労働者に至っては「0人」が94.8%と圧倒。女性技能者「1人」が19.2%、女性技能労働者「1人」も4.7%とそれぞれわずかに留まり、厳しい状況がうかがえる。

 採用についても、そもそも求職者がいないとしたのが50.8%となり、次いで「採用していない」が33.7%となった。採用に当たっては、男女の観点の違いから歓迎したいとする声などがある一方、女性が働きやすい環境作りや、地方で目立つという男性中心の社会構造であるなどの課題が挙がるなどした。

 女性技術者の採用にあたっての取り組みついてはまた、「女性用のトイレ設置」を挙げた企業が95.8%と最も多く、「女性更衣室の設置」と「育児.介護休業制度」がともに45.8%、女性用休憩室の設置が12.5%と続くなどした。

 これらに対する会員企業それぞれの考えとしてアンケートでは、週休2日制については、労働者の賃金確保と企業利益を両立させる必要があり、週休2日の導入に今以上のメリットがあれば定着すると思うが、現状では技術者や技能労働者の不足に拍車がかかるだけという意見や、年度をまたぐ工期を初めから設定することが第一という声、モデル工事は余裕がある一方で他の工事とのギャップの解消を求める意見などがあった。

 女性技術者の採用についてもまた、男性の新卒または中途採用で募集しても人材が確保されない状況で女性技術者の採用は現実的でないとする意見や、別途規定を設けて手厚い福利厚生をするなどの覚悟が企業側に必要だとする声などが寄せられていた。

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