県立図書館の基本構想案 改築して1館に機能集約(千葉県教育庁)

[2017/12/21 千葉版]
 県教育庁生涯学習課は、「県立図書館基本構想案」を取りまとめた。21日から30年1月11日まで意見を募集する。既存の中央図書館(千葉市中央区市場町11-1)の老朽化と耐震不足の問題に加え、書庫の狭あい化や社会の変化への対応、情報拠点としての役割を果たすため、3館に分散している図書館機能を1館に機能集約を図るもので、民間活用の導入といった整備手法や、複合化の可能性なども検討していく。

 県立図書館は現在、中央図書館のほか、西部図書館(松戸市千駄堀657-7)と東部図書館(旭市ハの349)の3館体制となっている。

 基本構想案では、現状と課題として▽市町村への支援▽子どもの読書活動の推進▽知識基盤社会における地域の発展を支える情報拠点▽県関係資料の計画的収集・提供・保存▽社会の変化に対応した図書館サービスの推進▽書庫の狭あい化と資料の廃棄▽中央図書館の老朽化と耐震不足の問題──の7つを挙げた。

 基本理念として県立図書館に望まれる役割と機能として、県内の図書館の中枢としての役割のほか、子どもの読書活動の推進や課題解決支援機能、県に関する資料や情報の蓄積・継承、知の創造と循環を生み出す公共の場などを掲げている。

 施設整備に当たっては[1]中央図書館を改築した上での3館体制の維持[2]中央図書館を廃止してその機能を残る2館に分散(2館体制)[3]中央図書館を改築して残る2館の図書館機能を中央に統合(1館体制)──の3パターンを比較検討。資料の集約によるワンストップサービスが可能となることや、人的資産である司書の集約による機能の強化、施設の集約による効率化とコストの削減効果から、1館体制として機能を集約、向上させるのが望ましいとした。

 このうちコストの削減面では、今後30年間の運営コストを比較した場合、2館体制の場合と比べて約10億3000万円、3館体制では約73億3000万円の縮減が可能だと試算している。

 施設整備の方向性については、先に策定した県公共施設等総合管理計画も踏まえ、PFIなど民間活力導入の導入や、類似施設との複合化、バリアフリー化を検討。立地条件については、ネットワークや関係機関との連携、情報の収集などを考慮し、県の中央部が適当だとした。

 運営についてもまた、知識や経験を持つ司書の確保という観点から、指定管理者制度は適さないとしつつ、施設の維持管理など個々の業務ではコストの縮減が図れる可能性もあるとし、整備手法と併せて検討していくとした。

 基本構想案の策定に当たっては、28年2月の県公共施設等総合管理計画で、今後30年間で県有施設の延床面積を15%削減させることが掲げられ、同年7月の「公の施設の見直し方針」では、現行の3館体制について機能集約を含めて継続して検討するとされたことから、県が今年10月の生涯学習審議会に諮問。今月13日付で答申を受けるなどしていた。

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