新消防庁舎で実施設計 30年度にII期着手(千葉県習志野市)

[2018/1/26 千葉版]
 千葉県習志野市は、I期工事に当たる新市庁舎の建設に続き、30年度はII期工事として、消防本部の入る消防庁舎(鷺沼2-1-43)の移転改築に着手する予定だ。現在は仮駐車場として利用している市庁舎前の敷地に整備する計画で、予算が確保できれば、30年度は実施設計を委託する考え。工事は31~32年度の2カ年で進め、33年度の新庁舎供用開始を目指す。

 新市庁舎との一体的な整備を図るため、同庁舎と合わせて委託された基本設計業務は佐藤総合計画(東京都墨田区)が担当。新消防庁舎の建築面積は約1380平方mで、建物の構造・規模はRC造3階建て延べ約3540平方mを想定しており、基礎免震構造を採用する。

 既存の消防庁舎は、旧耐震基準となる昭和53年の建設で、RC造地下1階地上5階建て延べ3542平方mの構造・規模。老朽化により内部の壁面や開口部周辺の亀裂や剥がれが目立っており、漏水もしていたという。

 加えて、平成22年に実施した耐震診断により、構造耐震指標(Is値)が0.36となり、消防署や市役所といった防災拠点施設に求められているIs値0.9を大幅に下回っていることが判明。複雑多様化する災害や事故への対応、防災拠点施設としての役割を果たさせるほか、周辺の建物に分散するなどしていた市役所の機能の一体化を図る観点からも、消防庁舎を建て替えることとした。

 新市庁舎と併せて策定された基本構想によると、建設場所は新市庁舎と同様に、旧本庁舎の向かい側に当たる旧習志野高校の跡地とし、新消防庁舎と新市庁舎をL字型に配置。ともに移転改築としたため仮移転の必要がない合理的な配置計画とした。

 整備方針をみると、耐震性能の不備の解消だけでなく、近年消防施設に求められる機能を充実させることで消防力の向上を図るとした。設計計画については、専門性が高いことから、他の自治体での事例研究や消防との綿密な打ち合わせが必要であるとともに、同敷地内にある新市庁舎との災害対策での連携を図る観点から、一体的な整備を目指すとした。

 新消防庁舎は、既存庁舎の規模である延べ約3500平方mを基準とし、従前の通り消防本部と中央消防署を1つの建物に集約する。計画では33年度に新庁舎供用後に移転の済んだ旧庁舎を解体した上で、訓練棟の建設も計画。基本設計ではRC造5階建て延べ約530平方mの構造・規模としている。

 新消防庁舎に持たせる機能としては、耐震性と耐火性に優れた施設とし、自家用発電機の設置や備蓄倉庫、貯水槽なども設置してライフラインの維持を図るとともに、救命講習や消火訓練など多種にわたる啓発活動が実施できる施設整備の充実を図り、太陽光や雨水利用など自然エネルギーの活用、屋上緑化、壁面緑化なども検討する。

 基本構想段階では、新消防庁舎の整備費について、設計・工事監理に約9000万円、建設工事に約12億1000万円、既存建物解体費に約9000万円の計13億9000万円を概算している。

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