第1浄水場更新へ詳細設計 鹿沼市が水道ビジョン 13施設に紫外線装置 耐震化進め老朽管更新

[2018/4/25 栃木版]
 鹿沼市は、当面の目標を39年度の10年間とする「水道ビジョン」をまとめ、老朽化の著しい第1浄水場の全面更新やクリプトスポリジウム対策に伴う紫外線処理装置について、全13浄水場への設置を前半の5年間に位置付けた。市水道部によると、今年度は第1浄水場の詳細設計を委託し整備手法やスケジュール等を確定していくほか、第4浄水場に続く紫外線処理装置対象の浄水場についても検討を加えていくとした。強靭化では浄水・配水施設・基幹管路の耐震化を進め、浄水・配水施設については平成41年度を目標に概成を目指すとしている。

 市の水道ビジョンは国の策定方針に則して、安全、強靭、持続、向上の視点から必要な対策等を示し、各種施策を位置付けている。市は29年4月に簡易水道を統合し上水道事業に一本化。拡張事業では、29年3月に第6次拡張事業の認可を取得、下遠部と白桑田・柏木の一部を区域に加え、計画給水区域面積が147.98平方km、給水人口は8万8500人となった。

 浄水場は、第1(千手町)、第2(富岡)、第3(上日向)、第4(西茂呂4丁目)、第5(下奈良部町)、下沢(下沢)、野尻(野尻)、口粟野第1(口粟野)、同第2(同)、粕尾第2(中粕尾)、清洲第1(深程)、同第2(北半田)、永野(上永野)-13施設、37カ所の取水井、22配水池で、施設能力は日量3万8042立方mを有する。水源は全て地下水(浅井戸)で、再開が決まった思川開発事業の南摩ダムの水利権を所有している。

 全面更新を計画している第1浄水場は、市水道事業の最初の浄水場。昭和29年に給水が開始され、施設は60年以上が経過。取水井は浄水場内に2井、場外に4井を有し、浄水処理を介した後、自然流下方式により配水している。配水池は1500立方m規模が2池あり、737立方m規模1池は休止している。浄水施設のうち昭和29年度建築のポンプ室建屋は耐震性が低く更新を進めるとの方向性を示したほか、配水池も同様に更新が必要としている。

 紫外線処理装置についてはこれまで、第2、野尻、第4の各浄水場の整備を完了。引き続き残る10施設の整備について優先順位を決め、計画的に実施していく見通し。原水に紫外線を照射し、原虫の不活性化を図るクリプトスポリジウム対策は、比較的安価で工期も短い効果的な方法とされている。

 紫外線処理装置に加え、第2と第4浄水場には、コンクリートの劣化や鉄の溶出の原因となる炭酸ガスを除去し、pH値を調整する脱炭酸処理装置を設置した。

 施設耐震化では28年度を基準とし、浄水施設を75.5%から10年間で95%、配水池も41.1%から93%に向上させ、41年度には100%を目指すとした。基幹管路の耐震適合率では、25.3%から10年間で42%とし、その後は更に高めていく。

 管路の法定耐用年数は40年とされ、市は拡張事業の進展に伴い昭和60年以降に給水区域を拡大させてきた。そのため平成37年以降に更新対象の管路の大幅な増加が見込まれており、布設管種に応じた対策等を実施していく見通し。

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