県住宅課29年度新設住宅着工統計 分譲戸建て最多の2433戸 戸数トップは宇都宮 前年度8.4%減の1万3380戸

[2018/5/19 栃木版]
 県住宅課は、29年度(4月~30年3月)の新設住宅着工統計(建築確認申請数)をまとめ、戸数が前年度比8.4%減の1万3380戸、床面積も0.95倍の129万0612平方mとなった。県内14市のうち戸数トップが4317戸の宇都宮市、床面積の伸び率では小山市が前年度比1.38倍の12万9725平方mでトップとなった。戸数・床面積とも伸び率が高いのは、JR宇都宮線沿線や東武鉄道沿線等となっており、戸数・床面積とも前年度を上回っているのは、佐野、小山、那須烏山、下野の4市と前年度に比べ4市減少した。東日本大震災からの復興が落ち着き、雇用環境が増加基調に推移していく中で、貸家や給与住宅は減少したものの、分譲一戸建てが平成10年度から過去最多の2433戸を記録しており、新設住宅着工戸数は持ち家志向が堅調に推移し1桁減に止まった。

 利用関係別戸数では、最も多い持ち家が前年度比1.0%増の6305戸と2年連続で増加。底堅い動きを見せていた貸家は、17.7%減の4481戸と25年度以来4年ぶりに減少したほか、分譲住宅も6.0%減の2555戸と2年ぶりの減少となった。

 28年度は総数が1万4000戸台に回復したものの、29年度は貸家に加え、給与住宅などの特殊要因が反映せず、1万4000戸台を下回った。10年度から過去20年間のピークは18年度の2万1457戸で、21年度に1万3000戸台にまで落ち込んだ住宅戸数は、復興需要を反映した24年度の1万5328戸を除けば、ここ数年は1万5000戸の壁を破れないでいる。

 市町別で戸数を見ると、宇都宮市が群を抜いて多く、次いで小山市1450戸、栃木市1198戸、足利市1007戸、佐野市944戸、那須塩原市648戸となっており、600戸を超えたのは前年度と同じく6市に止まった。25市町全体1万3380戸における構成比は、宇都宮が32.3%と3分の1を占めている。また、伸び率では小山市1.27倍、佐野市1.17倍、下野市1.16倍などとなっている。

 町は壬生町の252戸、次いで高根沢町200戸、上三川町151戸、野木町150戸となり、鉄道沿線や宇都宮市に隣接するなど、通勤至便な町が上位を占める構図は変わらない。11町の戸数の構成比は9.1%、床面積では10.1%で、一戸当たりの床面積は市に比べ広くなっている。

 床面積も戸数に比例しており、宇都宮、小山、栃木がトップ3。伸び率では小山1.38倍、那須烏山1.17倍、佐野1.12倍、下野1.03倍などとなった。

 平成18年度から経年別に見ていくと、20年度までは7900~9000戸台をキープしてきた持ち家数が、21年度からは7000戸台前半となり、27年度には6243戸まで落ち込み、29年度まで6000台前半で落ち着いている。貸家数も同様の傾向が見られ、200万人へ安定して増加してきた本県の人口も、20年代に入りかげりが見えてきた。

 一方で、23年度から29年度まで2000戸台をキープしているのは分譲住宅。再開発による18年度のマンション需要の3590戸をピークに一時は1400~1700台に落ち込んだものの、地価の下落傾向を背景に上下水道や道路・公園といった社会基盤が整備され、市町等が開発した土地区画整理事業地などへの民間住宅メーカーの進出により、26年度は分譲一戸建てが2043戸、27年度2077戸、28年度2262戸、29年度も2433戸と微増しており、10年度から最高を記録した。

 低金利優遇制度が続く銀行などを主体に、住宅購入に当たっては公的資金に比べ民間資金を活用するケースは依然として多く、26年度実績では92.8%、27年度93.1%、28年度89.2%、29年度も89.5%を占めた。公的資金の利用戸数が減少傾向で推移しているのに比べ、民間資金は安定した戸数を保っている。公的資金のうち支援機構は借入れ期間の35年間金利が変わらない「フラット35年」の導入を背景に、21年度に332戸まで落ち込んだが、22年度には858戸まで回復、29年度も766戸が活用している。

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