求む! 先進技術 衛星画像から地形変化解析 能代、福島管内で試行(東北整備局)

[2018/10/5 宮城版]
 国土交通省東北地方整備局はi-Constructionの推進に伴う技術試行に関し、民間企業らが有する技術を公募する。募集するのは「衛星画像データをAI(人工知能)によって解析し、時間ごとの地形変化を把握するための技術」。10月5日から公募を開始する。同整備局は応募された技術を選定後、NTTデータ経営研究所(東京都千代田区)が保有する技術とともに、秋田、福島両県で技術の実用性などを試行する。
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 東北地方整備局が10月5日から始めるのは「衛星画像データを用いて広域の地形変化を(経時的に)把握する技術」の公募。河川の氾濫や土砂災害、崖崩れなどの災害に備えるため、異なる時間に撮影された複数の衛星画像データを比較し、AIによって河道やのり面、植栽の変化が解析できるような技術を求めている。

 募集の対象者は、自ら技術を開発した個人や民間企業ら。行政機関や特殊法人、大学などは直接の応募者になれないが、共同開発者として応募者とともに参加できる。

 公募期限は10月18日まで。応募資料は基本的にEメールで受け付ける。5MB以上の資料は、CD-Rなどに書き込んで郵送する。提出先は東北地方整備局企画部技術管理課検査係。

 同局では公募締切後に提出を受けた技術を審査し、10月中に試行する技術を選定する。早ければ10月末から、秋田、福島両県の現場で技術の実用性などを試行していく考え。試行結果を31年3月末までに公表する意向だ。

 国交省は河川や海岸、急傾斜地などを管理する上で、現場から挙がった「こういう技術があると便利」という要望に応えようと、産学官が連携して技術開発・普及を目指す「i-Construction推進コンソーシアム」を29年1月に設立した。10月1日時点で民間企業や行政機関、有識者ら960者が会員になっている。

 同コンソーシアムでは、現場が要望する技術と、コンソーシアムの会員らが保有する技術をマッチングさせるため、ワーキンググループを開いている。本年度は需要と供給がマッチングした技術として「海中、水中の3次元測量を可能にする技術」、「舗装版をはがさずに橋りょうの床版の劣化状況を把握する技術」など11の技術を選定。実際の現場で検証することにした。

 11技術のうち、東北地方整備局では「衛星画像データを用いて広域の地形変化を(経時的に)把握する技術」を、能代河川国道事務所と福島河川国道事務所の管轄区域内で検証する。

 能代河川国道事務所では、米代川の流域で土地の利用状況や河道の蛇行、土砂の堆積・洗掘、堤防の変化を的確に把握するための技術を求めている。福島河川国道事務所では、管轄する砂防区域におけるのり面の変化、河道の閉塞、天然ダムの形成箇所における容積、湛水量などを把握できる技術を求めている。

 両事務所での技術試行では、すでにNTTデータ経営研究所が技術シーズ提供者に決まっている。同社は衛星画像データを高速処理し、AIで画像解析して地形の変化などを識別する技術を保有している。

 今回、東北地方整備局が公募するのは、NTTデータ経営研究所以外にも同様の技術を保有している団体となる。民間企業らが保有している高い技術を掘り起こし、その技術の実用性などを検証してより良く現場への導入を目指す。

 応募者が保有する技術を選定された場合、試行に用いる衛星画像データや試行にかかる費用は、応募者が負担する。

 技術の応募に関する問い合わせは、東北地方整備局企画部技術管理課検査係022-225-2171(代表)まで。応募資料の送信先はthr-82gikan@mlit.go.jpまで。

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