日建設計が設計候補者 次世代放射光施設の建屋(光科学イノベーションセンター)

 光科学イノベーションセンター(仙台市青葉区、高田昌樹理事長)は、次世代放射光施設の基本建屋設計業務について、公募型プロポーザルで日建設計(東京都千代田区)を受託候補者に選んだ。今後、同社と委託契約の手続きを進める。概算業務費は税抜3億4000万円を設定している。
 基本建屋は、線形加速器や蓄積リングを格納する施設で、実験ホールや電源室、中央制御室などを設ける。施設規模は、設置面積に約2万立方mを想定。建設場所は、仙台市青葉区荒巻地区の東北大学青葉山新キャンパス内で、設計対象の区域面積が約5.5ha。
 設計業務では、基本建屋と外構、地盤改良の基本・実施設計をまとめる。履行期間は31年度末まで。この業務で利便性や経済性、格納する機器類の要求事項などを検討し、施設規模を決定する。
 今回のプロポは、9月21日に募集公告し、今月15日まで参加表明書と技術提案書を受け付けた。23日の審査委員会で、同社が業務履行に当たり十分な能力を持っているとの答申を受けた。審査委員会のメンバーは、東北大学の大槻達也理事や、理化学研究所放射光科学総合研究センターの田中均副センター長ら4人。
 基本建屋の建設に当たっては、実施設計段階から施工者の技術提案を受けるECI方式を採用する。建築施工者の募集時期は未定だが、国の予算が確定すれば来年度に着工する見通し。
 次世代放射光施設は、1周約350mのリング型加速器によって電子を光速に近い速さで加速・回転させ、磁場の力で方向を曲げた際に発生する放射光を利用し、物質を原子レベルで解析する施設。巨大な顕微鏡に例えることができる。
 文部科学省は本年度、次世代放射光施設の整備運用パートナーとして、光科学イノベーションセンター・宮城県・仙台市・東北大学・東北経済連合会のグループを選んだ。
 次世代放射光施設の整備事業費は、概算で約360億円程度。内訳は、加速器が約170億円、ビームラインが約60億円、基本建屋が約83億円、研究準備交流棟が約25億円、土地造成が約22億円となっている。
 加速器は国が整備し、基本建屋や研究準備交流棟の建設、土地造成はパートナーが担う。同センターらは今後に造成工事の施工者を募集する。基本建屋は別途、施工業者を募集して着工し、34年度までの完成を目指す。
 
 県の放射光施設推進費(9月補正)=30年度分が5億4000万円、31年度分が債務負担で限度額24億6000万円

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