下妙典に高規格堤防 市川市と共同 3カ年で2・7億円(関東地方整備局)

[2019/1/12 千葉版]
 国土交通省関東地方整備局は10日、第4回の「関東地方整備局事業評価監視委員会」(委員長・朝倉康夫東京工業大学環境・社会理工学院教授)を、さいたま新都心の合同庁舎内で開き、継続中の事業5件(河川2、道路2、港湾1)を審議した。本県関連では、市川市下妙典地区の「利根川・江戸川直轄河川改修事業(江戸川高規格堤防整備事業(下妙典地区))」が了承。同整備局は2019年度から市川市と共同し、高規格堤防の築造を3カ年で進める。

 この事業は、市川市による地域コミュニティゾーン整備事業に併せて延長約100m、幅約60m(堤防面積0・7ha)の高規格堤防を整備するもの。事業費には約2・7億円を見込んでおり、21年度までに完成させ、市に引き渡す。

 19年度には設計に着手するとともに地盤改良工や盛土工も着工。22年度には市が、隣接する県江戸川第一終末処理場建設事業に併せて、市南部地区に不足している保育園のほか、約3・3haを地域コミュニティゾーンとしてスポーツや防災の拠点となる公園を整備する計画だ。

 同整備局は費用便益比(B/C)の算定に当たり、総便益を2・9億円、建設費など総費用を2・5億円とそれぞれ試算。B/Cは1・2となり、事業の継続妥当性を提案。このほか貨幣での換算が困難な効果として、江戸川の超過洪水により約120haで孤立者が発生するなどと試算し、堤防整備によりこれらの被害が解消される点からも事業継続は必要だとした。

 このほか事業の進ちょく状況についても、土地所有者である市川市や関係機関との調整が順調に進んでおり特に支障もなく、現在も測量や地質調査、設計を進めているとした。

 加えてコストの縮減に向けては、他の事業の建設発生土を受け入れるなど、盛土での建設発生土の運搬について経済的な運用を行うなど、今後もさらなる縮減の視点に立ち、事業を進めていくとした。

 市川市も公園整備に併せて高規格堤防を整備することで、一層の防災力強化が望めるとともに、周辺住民の緊急避難場所となるなど整備を強く要望。県もまた、江戸川下流部が人口・資産の密集地で、堤防決壊による壊滅的な被害を回避し、治水安全度の向上につながると継続に同意している。

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