6月から試験排水着手 磯辺3丁目の液状化対策(千葉市)

[2019/3/26 千葉版]
 東日本大震災での被災を受け、学識経験者や住民、行政職員で構成する「千葉市液状化対策推進委員会」の第12回会合が25日、千葉市内のホテルで開かれた。当日は美浜区の磯辺3丁目地区における地下水位の低下方法が議題となり、モデル地区として先行していた磯辺4丁目地区での事業の効果を確認した上で、磯辺3丁目地区でも地下水位の低下に取り組むこととし、6月にも試験排水に着手する予定などが確認された。その後の本排水では、期間を60日ずつの3段階に分けて、それぞれ50cmの水位低下を目指す。

 議事では、磯辺地区に存在する地質層のうち、表面の盛土の下にある浚渫土(埋立土)砂層(Fsc、シルト質細砂)の地下水位を低下させることを目標とし、モデル地区では各土層が、海側などに向かってわずかに傾いている箇所はあるものの、おおむね水平であることなどが説明された。

 モデル地区の磯辺4丁目地区には観測用の孔を配置するとともに、地盤の傾きを把握するため、排水段階ごとに水準測量を実施。2016年9月から計測を始め、19年2月には観測孔の平均水位が目標値のGL(地盤面)マイナス2・5mに達したとしている。

 鉛直面では、地下水位を下げるまでに2カ年で約2・7~3・7mm沈下。下がってからは6カ月で最大4・6mmの沈下が確認された。間隙水圧は地下水位を下げてからFc2層(シルト)でも低下したものの、地下水位の低下量よりは小さかったとした。

 モデル地区での試験排水では、降雨のない期間の水位低下量は1日3・5~1・8cmで、明確な地盤沈下や間隙水圧の変化は確認できず、その後の本排水で18年12月に平均地下水位がGLマイナス2・0mに達したものの、鉛直変位は最大でも1・6mmと小さく、GLマイナス2・5mに達しても、最大で4・6mmと小さかったという。

 これらを受けて、磯辺3丁目地区で実施する段階的な地下水位の低下に向けた基本方針で、試験排水の目標値である地下水位GLマイナス1・5mは、季節変動の範囲にあることから水位を下げても問題ないと仮定。開始を6月とすれば、これまでの観測データからGLマイナス1・2m程度と想定されるため、GLマイナス1・5mまで水位を下げるのに約1カ月かかるとした。

 一方、計測地点で鉛直変化が想定以上となった場合は、低下作業を中断。詳細な調査を実施する。各段階で推移が設定した高さまで低下した場合、または各段階で鉛直変位がその増加量からみて基準値を超えない場合などを満たした場合は次の段階に進めるとした。これらを6月から12月をめどに進め、20年以降は経過観測を実施する。

 先の計画で市は、同地区での液状化対策工法として、地盤状況や水位の高さ、 住民負担などから自然流下方式による地下水位低工法が最適と判断している。

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