建設業務でICT促進 BIM/CIMモデル委託 3次元データを活用(宮城県)

[2019/9/5 宮城版]
 宮城県は委託する建設関連業務で、2019年度から「BIM/CIM活用モデル業務」を実施する。土木部が所管する建設関連業務のうち、2件程度をモデル業務に選定。BIM/CIMの活用を業務成績などで評価していく。建設産業でのICT導入を促進する上で、前段階の公共事業を請け負うコンサルタントらにもICTの活用を促していく。
 建設産業では作業の省力化、効率化によって生産性の向上が求められており、すでに工事現場では多くのICT機器が使用されている。宮城県は本年度から建設工事の総合評価に「生産性向上」の項目を加え、ICT施工の実施を加点評価している。今後はこれを建設関連業務にも応用していく方針だ。
 BIM/CIM活用モデル業務の対象は、大きく「ICT活用工事に関連する測量および設計業務」と、「BIM/CIMが有効に活用できる設計業務」の2つに分けられる。
 ICT活用工事に関連するモデル業務は▽土工量が1000立方m以上の土工を含む測量および設計▽新設する3000平方m以上の路盤工を含む測量および設計──から選定する。これらの業務では航空レーザー測量や空中写真測量、車載写真レーザー測量などによって3次元測量を行うことや、道路や堤防、護岸の詳細設計を3次元設計することを求める。
 BIM/CIMが有効に活用できるモデル業務は、3次元モデルを可視化することで協議などが迅速化できる設計業務、景観検討や照査作業を効率化できる設計業務の中から選定する。これらの業務では道路、橋梁、河川構造物などの設計を3次元設計することを求める。
 19年度は土木事務所が委託する建設関連業務の中から、2件程度をモデル業務に選定する。モデル業務の受注者が3次元データやBIM/CIMを活用すれば、その実施状況によって業務成績評定で加点評価する。デル業務でなくとも、受注者が総合評価の対象業務でBIM/CIMの活用提案をした場合、実施状況によって加点評価する。
 宮城県がモデル業務を委託する際、3次元データなどを活用しない従来手法で積算し、予定価格などを算出する。受注者はBIM/CIMの活用提案でICT施工に必要な設計と認められれば、設計変更の対象となる。土工に用いる3次元データの作成費の積算は、増額に関して所管課所と協議する。
 モデル業務はあくまで受注者希望型とし、仮に受注したモデル業務でBIM/CIMを活用しなくとも、一定条件以外の業務なら業務成績での減点やペナルティは課さない。
 宮城県はモデル業務の実施結果を検証した上で、2020年度以降はモデル業務の選定件数、対象範囲などを拡大する考え。将来的に建設現場でのICTの全面活用を図っていく。

MEMO

■BIM/CIMとは…
 建設事業において測量、調査、設計などの段階からコンピュータで扱う3次元モデルを作成し、その後の工事からはそのデータにコストや品質管理などのデータを追加して設計・施工、維持管理まで全般的に情報を活用していくこと。
 BIMは「Building Information Modeling」の略称で、主に建築の現場で活用される。CIMは「Construction Information Modeling」の略称で、BIMの概念を土木工事に応用している。

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