台風災害 18社が対応 堤防復旧、道路啓開に尽力 「より良い物への作り替え必要」(宮建協・登米支部)

[2019/10/31 宮城版]
 台風19号による豪雨では、宮城県登米市内でも川の氾濫、堤防の決壊によって甚大な被害が出た。行政から災害対応の要請を受けた宮城県建設業協会登米支部では、会員18社が崩れた堤防の復旧や土砂崩れの撤去、道路啓開に当たっている。猪股研支部長(佐々木建設代表取締役社長)は災害復旧のあり方について、「激甚化する災害を防ぐには、壊れたものを元に戻すだけではだめだ」と懸念している。登米支部の災害対応について、猪股支部長に話しを聞いた。
 台風19号は発生当初からその勢力が「今世紀最大級」と伝えられ、接近するにつれ各地で事前の防災対策がとられた。登米支部では10月10日の時点で、会員企業に災害対応の体制を整えるよう通達。猛威を奮った10月12日の昼には、幹部らが事務局がある登米市迫町の登米建設会館に詰めた。
 12日の午後から雨足が強まり、市内の河川が増水し始めた。打ち付ける雨はとどまることを知らず、市内のいたるところで浸水被害が発生した。
 行政から最初に出動要請を受けたのは10月13日。迫町大網地区付近で長沼川が増水したため、登米市から排水作業を要請された。同地区にある排水機場で排水が追いつかず、宮田建設の作業員らが大型ポンプ6台を設置して迫川に放流した。「ポンプが足りないので、リース会社の協力を得て大型ポンプを確保した」と猪股支部長。周辺の道路が冠水すると、避難や防災活動の妨げになることを熟知しているからこそ、排水作業に最善を尽くした。
 同じころ、登米市津山町内を流れる石貝川、南沢川が氾濫し、石貝川では右岸堤防が20mにわたって決壊した。同町柳津地区や横山地区で、床上浸水が発生した。宮城県東部土木事務所登米地域事務所から堤防の応急復旧を要請され、只野組が対応に当たった。昼夜を問わない作業で土のうを積み、2日余りで仮設堤防を仕上げた。
 津山町内には土砂が流入し、日常生活を混乱させた。鈴亀建設が町内の道路啓開に当たったほか、稲わらが堆積した国道45号を浅野工務店が啓開した。このほか、同市では鱒淵川、二股川が氾濫した東和町内でも土砂崩れや川の法崩れが起こり、会員各社が対応に追われた。
 台風19号の被害は規模が大きく、発生から20日近く経っても被害の全容はつかめていない。同支部では緊急的な災害対応は収束に向かいつつも、今は稲わらの撤去作業を行政から要請されている。「ようやく水が引き、漂流していた稲わらの量が明らかになってきた。道路に堆積した稲わらはスリップ事故の原因にもなるし、排水機場などに詰まると故障の原因になる」と猪股支部長は“厄介者”の処分に苦慮している。
 道路や堤防が破損した場合、行政の災害復旧事業は基本的に「以前、あった時と同じ状態に戻す」ことが原則となっている。しかし、近年起こっている災害はこれまでの想定を越え、より激甚化している。「元に戻しただけでは、同じレベルの災害が発生した時に、また壊れてしまう。以前あった物より、良い物に作り替えることが必要なのではないか」と猪股支部長は力を込めた。
 激甚化・頻発化する災害から人命や財産を守るためには、現行の災害復旧のあり方も検討が必要になってきそうだ。

20mにわたって決壊した石貝川の堤防(写真左)を、只野組が土のうを積んで応急復旧した(写真右)

20mにわたって決壊した石貝川の堤防(写真左)を、只野組が土のうを積んで応急復旧した(写真右)

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