ICTの内製化が課題 生産性向上など意見交換(東北技士会と東北整備局)

[2020/2/7 宮城版]
 東北土木施工管理技士会連合会(東北技士会、北林一成会長)は5日、仙台市内で東北地方整備局との意見交換会を開催した。同局は過去3年間におけるICT活用工事の受注状況を紹介。話し合いの結果、3次元の起工測量や設計データ作成を高値で外注している企業が多い一方、それらを自社で内製化している企業は収益増につなげていることが分かり、いかに内製化を進めるかが今後の課題となった。
 意見交換会には、東北技士会から北林会長ら15人と、全国土木施工管理技士会連合会の齋田紀行技術部長が出席。東北整備局からは西尾崇企画部長ら10人が顔を揃えた。
 北林会長は、昨年も台風被害が発生したことについて触れ、「建設業は災害時に対応するための危機管理産業としての責任がより強く求められている」と発言。一方で、担い手不足の解消が喫緊の課題であると指摘し、「私ども技士会としては現場で働く技士の立場から具体的な問題を提言し、全国技士会でその内容を集約し提案している。本日は東北6県の技士の皆さんに出席してもらっているので活発な意見を聞かせてほしい」と話した。
 西尾企画部長は、昨年の台風被害に際して技士会の会員らが迅速な対応で応急復旧などに貢献したことを感謝。今後の本復旧を進めるに当たり、まずは2400億円の補正予算が配分されたことを紹介し、引き続きの協力を求めた。新・担い手3法に位置付けられた生産性向上や働き方改革についても「しっかり取り組みたい」と述べた。
 意見交換は非公開で行われ、生産性の向上としてICT施工を中心に協議したほか、働き方改革の推進に向け週休2日制の問題などを話し合った。
 同局は、2016年度にICT活用工事の取り組みを開始し、18年度までの3年間でICT土工に参加した地域建設業者(C等級)が145社に上っていることを紹介。うち本県は25社が参加しており、C等級全体(この3年間に同局の工事を完了したC等級の年間平均数)の69.4%が取り組んだことになっている。
 18年度に公告したICT活用工事は東北全体で300件あり、うちICT活用を選択した工事は58.7%の176件。活用を選択しなかった工事は124件で、うち活用経験のある企業が選択しなかった工事が86件(約7割)もあり、経験があるにも関わらず連続して行われていない実態が明らかとなった。
 同局は新たな取り組みとして、簡易チャレンジ型ICT(仮称)を創設し、起工測量や施工、出来形管理など全プロセスでICTを活用しなくても評価する意向を伝えた。評価方法はこれから決める。
 ただ、起工測量や3次元設計データの作成を外注してしまっているケースが多く、そうなると外注費がかかり利益も出にくくなってしまう。東北技士会からは自社で内製化して取り組まなければ利益が生み出せないという意見があった。
 東北技士会からはこのほか、一定レベル以下の小規模工事では採算性を上げるのが難しいという意見や、ICT実施証明書の有効期間を現行の1年間より延ばしてほしいという要望が出された。
 週休2日の取り組みに関しては、同局が週休2日工事の発注方法について、本官工事だけでなく、分任官工事の「鋼橋架設工事」「PC橋工事」「舗装工事」も発注者指定型を基本とする運用方針を提示。1月30日付で各出先事務所に通知したことを明らかにした。
 週休2日の実施に向けて同局が行っている特記仕様書への工期日数(官工期)の明示や条件明示チェックリストの活用などは、市町村にも展開してほしいという要望が出された。

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