50億円でリニューアル ターミナルの魅力向上へ 前田建設工業で着工(仙台国際空港)

[2020/3/28 宮城版]
 仙台国際空港(岩井卓也代表取締役)は26日、旅客ターミナルビルのリニューアル工事に着手した。事業費に約50億円を投じ、増築や改修を進め、搭乗までの時間短縮や、飲食店舗の充実化を図る。工事施工は前田建設工業(東北支店・仙台市青葉区)が担当。同日に空港敷地内で安全祈願祭を執り行った。2021年度下期のグランドオープンを予定する。
 リニューアルは2~3階部分が中心で、改修面積が9848平方m。増築では2階部分から張り出す形で1683平方mのスペースを確保する。増築部はS造で1階部分がピロティ構造となる。商業店舗の面積は2804平方mとなり、リニューアル前に比べ22・5%増加する。
 リニューアルのコンセプトは、搭乗までの手続きをよりスムーズにする「Fast Travel」と、搭乗の直前まで食事や買い物が楽しめる「素晴らしい空港体験」の2つを掲げた。
 搭乗までの時間短縮に向けては、保安検査場の拡張や新たな検査機器の導入を進める。保安検査場は、国内線が現状の4レーンから最大5レーン、国際線が現状の1レーンから最大4レーンに増やし、よりゆったりとスムーズな通過を可能にする。
 素晴らしい空港体験の実現に向けては、食事や買い物ができる店舗の位置を、保安検査場を通る前のランドサイドから、通った後のエアサイドへと移すことで、搭乗直前まで楽しめるようにする。
 こうすることで、保安検査という事務手続きを早々に済ませ、すっきりした気分でショッピングコーナーを巡り、ゆっくりと食事を味わうことが可能になる。搭乗までただ時間をつぶすしかなかったエアサイドでは、店舗面積を現在の10倍にまで拡張するため、より有意義な時間が過ごせるようになる。
 店舗では東北の名産品に加え、バラエティに富んだ商品を数多く用意するほか、グルメを堪能できる横丁空間や、フードコート、カフェなどを新設する予定だ。
 仙台国際空港では、2016年7月に民営化されて以降、将来的に2044年度の旅客数を550万人とすることを目標に掲げ、1階国内線到着エリアの改修や、旅客搭乗施設「ピア棟」の増築、駐車場の拡張などを順次進めてきた。
 今回のリニューアルに関して岩井代表取締役は「安全、快適、ホスピタリティという3つのキーワードで(設備投資を)やってきたが、ここで一番大きなプロジェクトに差し掛かる。これが終わると、お客さんもこの空港が本当に変わったという感覚を持たれると思う。550万人という目標の旅客数に対応するキャパシティもほぼできあがる」とコメントした。
 リニューアル工事の安全祈願祭には、空港関係者や工事関係者など約30人が出席。地鎮の儀では、日建設計(東京都千代田区)の妹尾賢二執行役員が鎌振り、岩井代表取締役が鍬入れ、前田建設工業東北支店の東海林茂美常務執行支店長と東急エージェンシー(東京都港区)の菊井健一エリアプロジェクト局長が鋤入れを行った。
 現場所長を務める前田建設工業東北支店の澤井秀行氏のコメント
 施設内での改修がメインで利用客や従業員に近接した作業が多くなる。空港運営に支障がないように計画と作業を進めたい。仮囲いは透明にしており、誰が見てもきれいで安全な現場だと自信を持って施工する。

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