地元優先発注を要望 担い手確保や災害対応など 県土木部と意見交換(宮測協)

 県測量設計業協会(佐々木甲也会長)は12日、県土木部と意見交換会を開いた。昨年の東日本台風災害で会員一丸となって対応した宮測協は、安心・安全なインフラ提供、地元企業の健全な発展、担い手確保・育成のためにも欠かせないこととして、県内本社を参加要件とした優先発注を強く要望。県も業務内容を勘案しながら、適正な制度設計、運用に努めると回答した。
 意見交換会には、協会から佐々木会長ら幹部13人、県土木部から菅野洋一次長と事業管理課の幹部7人が出席。佐々木会長は「明日の宮城を背負う担い手確保・育成のためにも、今回は特に県内業者の活用を重点的にお願いしたい」とあいさつ。また昨年の台風災害対応に触れ「課題の一つであるマンパワー不足解消に向け、サポート会員募集に向け取り組んでいる」と報告した。
 議題は▽担い手確保・育成のための環境整備▽総合評価落札方式の改善▽災害対応──の3つ。担い手確保・育成の環境整備では、県内本社を参加要件とする条件付き一般競争入札の拡大を要望。特に一定の競争性が保たれる建設コンサルタントや承認社数の多い分野など特定業務について検討を求めた。県業務の受注状況は、落札額ベースでみると東日本大震災以降に続いていた県外優勢が若干改善しつつあるものの、県内業者の割合が震災前6割だった状況には戻っていない。また予算規模・落札額が大きい建設コンサルタント業務の受注は、県外がその64.4%を占めており「県内業者の活用の場面がまだまだある」と指摘した。
 このほか協会側は技術者の育成・創出の観点から、担当技術者としての実績を評価する制度改定や、市町村実績型(チャレンジ型)の導入、設計JVの運用拡大などを提案した。
 県は県内本社を要件とする地域限定型について「引き続き総合評価落札方式による一般競争入札の適用拡大と合わせ、業務内容を勘案しながら活用に取り組む。併せて総合評価落札方式のあり方について、国、他県の動向を参考に適正な制度改正、運用に努める」と回答した。
 ダンピング対策では、19年度の一般競争入札における低入札率が88%と高水準であり、協会側は低入札業務履行に関する制約強化や、全業務(随契を除く)への履行能力確認調査適用などを訴えた。
 県は設計額が500万円未満のコンサルなど適用対象外の業務について「これらの19年度の平均落札率は73%。落札率50%以下が21件あった」と説明し、低入札のリスクを踏まえ、調査基準価格適用や設計額を下げるなどの検討を進めていると明かした。
 総合評価落札方式の改善では、協会が受注機会の拡大に向けて「実施方針型」中心の運用を求めたほか、評価内容の細分化や「実施方針」など評価基準の工夫を要請した。
 災害に対する意見交換では、昨年の東日本台風の対応を中心に諸課題を議論。協会では県との協定に基づき初動調査や査定設計などの対応に当たっている。話題は国の査定期日を前提とした履行期間や、「査定の簡素化」が上った。特に簡素化では協会が「県内全体に適用されれば、時間をかけず重篤な地域に応援に行けた」と指摘。また作業の効率化、技術者の配置の観点から簡素化の「パターン化」を提案し、被災状況に合わせた段階ごとや、道路・河川など施設ごとのパターン化を例に挙げた。
 県の菅野次長は災害の支援に感謝し「簡素化は全域にするべきかどうか悩んだ。現在、検証報告をまとめており、これを踏まえてパターン化案を出せればと思う。その時は皆さんと一緒に考えていきたい」と答えた。

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