4年間で赤川ダム補修 河内農振 21年度に実施設計

[2021/01/29 栃木版]
 県は、農業用ため池赤川ダム(宇都宮市)の長寿命化・防災減災計画に伴う対策工事の概要を固め、2021年度に着手するため採択申請する。県河内農業振興事務所によると、事業採択後は21年度に実施設計を行うため、2000万円を要求。22~24年度の3年間で対策工事を予定しており、具体的な施工スケジュールについては、宇都宮市や城山土地改良区と調整し決めていくとした。事業費には1億1600万円を試算している。

 工事は土木構造物の余水吐(一般部)をエポキシ樹脂で補修、余水吐(橋梁部)は鉄筋が露出しておりコンクリートによる増厚工法で補強するほか、取水塔の操作室はアスファルト等で補修し防水対策を実施。機械設備のうち取水塔本体とフロート設備本体は再塗装による補修、防塵スクリーンとガイドローラは更新する予定。開閉装置の油圧ユニット・配管、ウィンチ、バタフライ弁は更新する計画とした。

 赤川ダムは、築造から約50年が経過したアースダムで、防災重点ため池に指定されている。半期の25年が経過した時点で、一部の施設・設備については補修や更新を実施している。

 堤高が17・5m、堤長221m、堤体積が11万4651立方m。ダム湖の貯水量は32万7000立方mで、余裕高が1・12m、天端幅は6・5m。一級河川赤川の上流部に築造された農業用水利ダム。受益面積が87haで、受益戸数は168戸。取水量は毎秒0・32立方mで、法面保護工は上流が表面遮水アスファルト、下流は土羽構造となっている。

 経年劣化に伴い、余水吐をはじめとする堤体は、ひび割れ・摩耗などの変状が認められるほか、取水塔操作室は漏水が生じているとした。取水塔とフロート設備は、塗膜の劣化が認められ、防塵スクリーンは破損し、ガイドローラも逸脱しているとしている。

 近年頻発する豪雨被害により、市は赤川ダムにおいて事前放流の実施を検討しており、不具合が多くなった同ダムの防災・減災の取組にも、支障が生じる恐れが高いとしている。

 県は施設の健全性や対策工事の必要性を把握するため、14年度に耐震調査、16年度には機能診断を行い、19年度に防災減災計画を策定。20年度には事業採択に向け、計画樹立業務を実施した。

 堤体の耐震性は保たれているものの、余水吐や操作室の建屋、取水塔などの設備が劣化しており、農村地域防災減災事業を適用し、対策を実施するもの。耐震調査と機能診断は中央開発(東京都新宿区)、防災減災計画策定と計画樹立業務はNTCコンサルタンツ東京支社(東京都中野区)が担当した。

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