防災・減災や新技術活用 社会資本整備の重点計画 有識者と素案協議(東北整備局)

[2021/5/26 宮城版]

社会資本整備重点計画に盛り込む取り組みについて有識者と懇談した

社会資本整備重点計画に盛り込む取り組みについて有識者と懇談した

 東北地方整備局は24日、新たな「東北ブロック社会資本整備重点計画」の素案を示し、有識者と協議した。計画案では、社会資本整備の重点目標に「防災・減災が主流となる社会の実現」(防災先進圏域を目指して)など6つを掲げ、その下に東北独自の小目標16項目と、目標別の主な取り組み内容を列挙した。

 同計画は、社会資本整備重点計画法に基づき、重点的かつ効果的に社会資本整備事業を進めるために策定する。計画期間は2021年度からの5年間。24日の有識者懇談会(座長・稲村肇東北工業大学名誉教授)には、稲村座長ら4人の委員と、東北整備局から梅野修一局長ら幹部職員10人、東北運輸局から2人が参加した。

 あいさつで梅野局長は、5月11日に国土交通省が第5次社会資本整備重点計画を示し、その中でブロック計画を作ることにしているため、東北ブロックの計画を作ることになったと紹介。前回にブロック計画を策定したのが2016年で、それから新型コロナ感染症に対応した生活様式の変化やデジタル化の進展、大震災からの復旧・復興事業の進捗などといった動きが起きているため、その点も踏まえた計画にしていく意向を示した。

 稲村座長は、同計画が各県などに対して「今後の展望を示す非常に重要な計画になる」と説明し、SDGsも含めた幅広い計画とした上で「これを実行に移してほしい」と求めた。

 計画は4章構成となっており、1章で東北ブロックにおける社会資本整備を取り巻く社会経済情勢、2章で今後の東北ブロックの社会資本整備の方向性、3章で東北ブロックにおける社会資本整備の重点目標と小目標、個別事業を提示。4章は計画の実行性を確保する方策を示した。

 主な小目標には▽東日本大震災や2019年東日本台風などの教訓を生かした圏域全体の防災・減災対策の推進▽新技術の活用等によるインフラメンテナンスの高度化・効率化▽集約・再編等によるインフラストックの適正化▽東北復興「働き方・人づくり改革プロジェクト」等によるデジタル化・スマート化▽再生可能エネルギー・新エネルギー等によるグリーン社会の実現――などを掲げた。

 防災・減災対策は、あらゆる関係者が流域全体で行う流域治水の推進や、河川管理施設の地震・津波対策の推進、大雪時の道路交通確保に向けた取り組み強化、道路ネットワークの代替性・多重性確保などに取り組む。

 インフラメンテの高度化・効率化では、管理におけるデジタル化の推進、包括管理委託の導入、新技術の導入・普及促進などを計画に盛り込んだ。

 デジタル化・スマート化の主な取り組みとしては、国土交通データプラットフォームの形成による施策の高度化、新技術等の活用による生産性向上や維持修繕、3次元データの整備等の強化などを掲載。グリーン社会の実現に向けては、新エネルギーの拠点形成を支援する道路整備、官民連携による河道管理、低炭素都市づくりの推進などに取り組む。

 懇談会では稲村座長が「新技術の活用等によるインフラメンテナンスの高度化・効率化」と「集約・再編等によるインフラストックの適正化」の2つが「今後の社会資本整備で物凄く重要になる」との認識を示し、これらの取り組みをさらに充実させるよう求めた。

 計画策定に向けては今後、目標別の事業を練り上げて東北地方戦略懇談会で原案を説明し、パブリックコメントと市町村の意見徴収を経て、7月末~8月の策定を目指す。

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