都市防災で3路線改良 水路暗渠化や市道拡幅(宮城県石巻市)

[2021/6/30 宮城版]
 石巻市は、国の都市防災総合推進事業を活用し、新田町谷地中線、明治橋稲井小中学校線、中浦橋釜北線の市道3路線を改良する。新田町谷地中線は総事業費に1億3000万円、明治橋稲井小中学校線が同2億2300万円を試算しており、ともに本年度から事業を進める。中浦橋釜北線は9月ごろに一般競争入札で工事を発注する予定だ。

 新田町谷地中線は鹿又地区の市道で、現道の脇に素掘りの大型水路が設けられている。2019年の東日本台風で水路から水があふれて冠水した。災害時や豪雨時には付近の住民が同線を通って避難所へ向かう必要があるため、改良する。

 具体的には冠水対策として水路の断面を大きくし、ボックスカルバートに敷設替えする計画。暗渠化して水路の上を歩道にする考え。現道の幅員は車道が片側3mで、全幅が7・7m。総事業費には電柱の移転補償費が含まれているものの、用地費は含まれていない。

 明治橋稲井小中学校線は、稲井小学校や稲井中学校がある場所から、新明治橋までの延長800m区間を拡幅する。幅員は現道が6m程度で、これを9・5mにまで広げ、2車線と片側に歩道を確保する。災害時には小中学校が避難場所となる。

 事業区間の周辺では、2018年度に県の国道398号石巻バイパス(大瓜工区)、20年度に渡波地区から延びる市道渡波稲井線が開通するなど、交通量の増加が見込まれている。明治橋稲井小中学校線は以前から歩道整備が計画されており、ほ場整備事業ですでに道路用地の一部を確保している。

 6月補正予算には、新田町谷地中線と明治橋稲井小中学校線の測量設計業務委託費に3900万円、電柱等移設補償費に1400万円を計上。道路改良工事費は、新田町谷地中線と中浦橋釜北線の2路線分に7900万円を充てている。

本年度に交差点改良 中浦1丁目で市道拡幅

正面奥の市道を拡幅する

正面奥の市道を拡幅する

 中浦橋釜北線は、国道398号との交差点を改良する。本年度に延長約120m区間の改良工事を発注し、事業完成を目指す。概算工事規模は6000万円。工期は6カ月を見込む。復興車両の通行によって現道が傷んでいるため、場合によっては工事費を増額して舗装補修なども行う可能性がある。

 同線は中浦1丁目付近で国道398号と交差しており、本年度に398号から南側を拡幅して右折レーンを確保する。交差点から北側はすでに拡幅済みのため、ラインのみを修正してこちらも右折レーンを設ける。

 拡幅では現道に1車線を付加して全幅を18・25~23mとする。現道には幅員3mの歩道が設けられているため、拡幅に伴って歩道を端の方にスライドさせる。

 398号から南側の拡幅に向けた測量設計業務は、日野測量設計(石巻市)がまとめた。事業費はこれまで社会資本整備総合交付金を活用していたが、本年度から都市防災総合推進事業に切り替わった。

 中浦橋釜北線の工事費は、昨年度の2月補正予算で1800万円を確保し、繰り越している。6月補正予算案には4200万円を追加計上した。

 中浦橋釜北線は朝晩に、石巻工業港と三陸道の河南インターチェンジ(IC)を行き来する運送車両などが多く利用するため、途中で交差する国道398号や国道45号にも渋滞の影響が及んでいる。地元からは渋滞解消を求める要望が出されている。

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